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法学部 ケンブリッジ大学夏期法学研修開催

研修最終日、修了証を手にカレッジの中庭で

法学部は夏季休暇中の8月12日から9月11日までの1カ月間、イギリス・ケンブリッジ大学で「ケンブリッジ大学夏期法学研修」を実施した。2010年に始まり3回目の実施となる今年度は、2年生25人、3年生5人の計30人の法学部生が参加し、伝統あるコーパス・クリスティカレッジでの授業と学生生活を経験した。

法学研修の授業は、司法制度、民事法、刑事法などイギリス法の各分野について経験豊富な講師から学ぶセミナー(20回)、ケンブリッジ大学出身の若手研究者や実務家から国際刑事法、国際人権法などの専門的なトピックを学ぶ講義(10回)、ライティングとスピーキングを重視する法律英語(12回)からなる。さらにロンドンにある王立裁判所の見学、ケンブリッジ市内の裁判所での裁判傍聴とレポート作成、ケンブリッジ市庁舎内の旧裁判所法廷を利用した模擬裁判が行われる。

ほとんどの学生にとって、本格的に英語でイギリス法を学ぶのは今回が初めての経験である。そのため法学部では、研修前に留学基礎講座を設置して、学生が現地の授業についてゆくのに必要な英語およびイギリス法の基本知識を習得させている。この事前学習によって、学生は現地でよりレベルの高い授業に積極的に参加することができるようになる。また現地では、ケンブリッジ大学の法学部生がプログラムアシスタントとして配置され、参加学生の学習、生活上の質問や相談ができるように配慮されている。これらの施策が実を結び、学生は充実した生活を送るとともに、ケンブリッジ大学のジャッキー・トーマス先生から「授業をよく理解できている」とのコメントをいただいた。

法学研修の目的は「グローバルに活躍できる人材」の育成にある。現地の授業は、イギリス法の専門知識習得と英語力向上を目的とするが、法学研修で得られるものはそれだけではない。判例のプレゼンテーション、裁判傍聴レポートの作成、模擬裁判、これらをグループで行うことを通して、協調性とチームワークの重要性を学ぶ。学習以外の外国生活体験、電車で旅行をしたり、パブで地元の人と知り合ったりすることを通して、学生は主体的に行動し、初めて見聞するものに積極的に挑戦するチャレンジ精神を育む。同じ目標をもった30人の仲間とともに1カ月間の共同生活を送ることは、学生の学力を向上させるだけでなく、自らの人生に対する見方を変える。

現地で授業と模擬裁判を見学すると、学生の表情が出発前とは異なって、自信に溢れかつより大人びていることに気づく。ケンブリッジ大学のスタッフの一人が、明治の学生を評して「彼らはindependentだ(自立している)」と述べた。これは最上級の褒め言葉であると思う。

法学部では、2013年度もケンブリッジ大学夏期法学研修を実施する予定である。

(小室輝久・法学部准教授)