Go Forward

総合数理学部開設記念 広島で高大連携シンポジウムを開催

広島の高校生が数学の魅力を体感した

明治大学は10月13日、高校生を対象とした高大連携講座「数学の広がり:Math Everywhere」を広島大学付属高等学校で開催した。会場には数学に関心を持つ熱心な高校生ら約30人が集まり、数学の最前線で活躍する研究者の言葉に聞き入った。

本講座は、2013年度に総合数理学部が開設することを記念して行われたもので、交流協定を結ぶ広島大学ならびに広島大学付属中学・高等学校の協力のもと実現した。

講演に先立ち、先端数理科学研究科の上山大信准教授が本講座の趣旨を説明し、会場の高校生に「皆さんの勉強している数学が、どのように身の周りに活かされているのかを学ぶ機会にしてほしい。この講座によって数学への取り組み方が変わることを期待している」と呼びかけた。

続いて、明治大学・広島大学の教員による4つのプログラムが行われた。

最初に登壇した総合数理学部長就任予定者の砂田利一教授は「幾何学と物質設計」をテーマに講演。数理科学が活用されている身近な例として、インターネットの検索サービスや電気の流れをコントロールするスマートグリッドを紹介し、物質を形成する結晶構造の研究にも数理科学が応用されていることを解説した。

続いて講演を行った先端数理科学インスティテュート所長の三村昌泰特任教授は、ボールの遠投やスカイダイビングの原理を、高校生が数学の授業で学ぶ三角関数や微分方程式を使って説明。さらに「微小重力場での燃焼は予測できるか?」をテーマに、宇宙開発に不可欠な課題に挑む研究内容を紹介した。

休憩を挟み、「連分数のふしぎ」と題し広島大学の木村俊一教授による体験型プログラムが行われた。このプログラムでは連分数を使って小数を分数で表す方法を学び、この応用として4年に一度のうるう年をより正確に算出する過程を体験した。

最後に、広島大学の粟津暁紀准教授が「生物物理の数理」をテーマに講演。生物の細胞を構成する原子・分子の運動が数学や物理の法則で解明できることを紹介し、理系学生の進路選択では生物か物理のどちらか一方を選択する場面が多いが、本来は相互に関わりの強い学問であることが説明された。

閉会のあいさつを行った広島大学付属高等学校の青谷章弘教諭は「数学で解明できる物事の面白さは、大学の数学科に行かないと出会えるものではない。こういった会を企画して聞いてもらえるのは嬉しいことで、これからも授業などを通じて多くの人々と共有していきたい」と感想を語った。