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UNHCR難民映画祭 延べ660人が参加

オロ上映後、岩佐監督との質疑(和泉) 多くの学生ボランティアが映画祭に協力(駿河台)

明治大学は10月1日より8日まで、UNHCR(国連難民高等弁務官)駐日事務所が主催する「第7回難民映画祭」を駿河台・和泉の2キャンパスで初めて開催した。和泉キャンパス図書館ホールではアフリカの難民問題を中心としたドキュメンタリー作品を3本。駿河台キャンパスリバティホールではヨーロッパの難民問題を主題とした2本の映画が上映された。この映画祭は2010年7月にUNHCR駐日事務所と本学が「難民を対象とする推薦特別入学制度に関する協定」を締結したことを受け、協力関係を強化するとともに、明大生や社会に、難民問題へ理解と関心を寄せてもらうことを目的として企画された。

明治大学でのキックオフとなった10月1日、和泉キャンパス図書館ホールでは上映に先立ちオープニングセレモニーが催された。UNHCRのヨハン・セルス駐日代表のあいさつに続き、福宮賢一学長は映画祭の開催を祝賀するとともに「『権利自由』『独立自治』という明治大学の建学精神とUNHCRの難民救済活動が深く通じ合う」と学生たちの若い力が問題解決に注がれることへの期待を述べた。

さらに、本学に在籍する4人の難民留学生を代表し、アフガニスタン出身のアタイ・ジャフアルさん(国際1)が自身の経験をもとにスピーチし、支援に対するお礼と、増加する難民へのさらなる支援と救済を訴えた。

時期を同じくして和泉キャンパスでは、図書館ホールに隣接するギャラリーで、UNHCRキャンプで使用するさまざまな道具や関連書籍が展示された。また、1日の『オロ』では制作者である岩佐寿弥監督自身、6日の『ローズとその家族』ではエチオピア研究者児玉由佳先生(アジア経済研究所)、8日『未来を生きる君たちへ』では溝辺泰雄専任講師(国際日本学部)からそれぞれ関連講演が行われ、講演後には活発な意見が交換された。5回の上映で延べ660人余りが参加し、明治大学では初の開催となったUNHCR難民映画祭は盛況のうちに幕を閉じた。このプログラムの運営に当たっては、本学学生を含む多数の学生ボランティア学生によって運営がされたことも特筆すべきことだ。

「戦争や紛争の最大の被害者は子どもたちである」。アタイ・ジャフアル君がキックオフスピーチの中で述べた一言は、自身の経験に基づいた発言であったがゆえに、参加者1人ひとりの胸に、深く・鋭く突き刺さった。コーディネーターとして映画祭自体が盛況であったことはうれしいことだが、この映画祭が「難民問題への理解」を深めることを目的としているだけに、複雑な心境だ。いつの日か、難民映画祭の「クロージングセレモニー」に参加できることを願うばかりである。

鳥居高(商学部教授)