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文学部 第4回読書感想文コンクール「教養人の育成」世代を越えた交流



文学部が主催する「第4回読書感想文コンクール」の表彰式が11月17日、駿河台キャンパスリバティタワーで行われた。

本コンクールは文学部の社会貢献活動の一環として開催されているもので、今年で4回目。高校生および社会人を対象に、活字離れを防ぐとともに、広く読書への関心を喚起することを目的としている。

応募は、10冊の課題図書から選んだ1冊について1200字以内で感想を綴る。文学部読書感想文コンクール選考委員会の審査・選考を経て、優秀賞100人が選出される。作品は、優秀賞受賞作品集『読むことの歓び』として書籍化され、3000の高等学校や図書館に寄贈される。今回は1165人の応募があり、高校生86人・社会人14人が受賞した。

表彰式の冒頭にあいさつした林義勝文学部長は「今年は、昨年の倍近くの応募があった。表彰式にも鹿児島や京都・三重など各地から来ていただいて大変嬉しく思う」と本コンクールが浸透していることの喜びを述べた。引き続き、林文学部長から受賞者一人ひとりに、賞状と優秀賞作品集『読むことの歓び』が授与された。

続いて選考委員の立野正裕(文学部)教授は講評として、今回の課題図書である『若きウェルテルの悩み』(ゲーテ作)と『トニオ・クレーゲル』(トーマス・マン作)2作品を例に挙げ「感性とは年齢とは関係ないもの、正直に思ったことを書くことが文学になる」と語った。竹本田持副学長の祝辞に続いて、杉田昌彦(文学部)教授が「宣長と『物語』-『源氏物語』の愛読と研究—」と題して記念講演を行った。

最後に、高校生の部の受賞者を代表して大山輝留さんが「コンクールに応募したきっかけは、担任の『書いてみないか?』というひとことでした」と思わぬ受賞の喜びを述べた。同じく高校生の冨沢裕里子さんは「スゴくむずかしい本で、まとめるのに苦労した」と語った。

社会人の部の千葉晋一さんは「ハムレットの冒頭は、これから人生が始まるという時に不条理にぶつかる」と前置きをして、自身が昨年難病にかかった事を述べ「不条理に主人公は狂気の世界を選んだが、私は本コンクールに挑戦し、一筋の光が見えた」と述べた。千葉さんは今回、家族で応募して奥様とダブル優秀賞を獲得した。

第4回読書感想文・課題図書(10作品)



1 大崎善生著 将棋の子
2 G・ガルシア=マルケス作 予告された殺人の記録
3 クセノポン著 アナバシス
4 ゲーテ作 若きウェルテルの悩み
5 幸田露伴作 五重塔
6 小林秀雄著 モオツァルト
7 シェイクスピア作 ハムレット
8 夏目漱石作 三四郎
9 トーマス・マン作 トニオ・クレーゲル
10 養老孟司他著 復興の精神