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施設整備と財政計画の策定 

理事 鎌倉 行男

箱根駅伝でスタートした2013年、全国の会場のひとつとして、和泉と生田キャンパスで実施された大学入試センター試験も無事に終え、数日後の大安吉日1月23日には、創立130周年記念事業の一環である駿河台C地区建物『グローバルフロント』の竣工式が執り行われた。建物の正面入口では、東京藝術大学長の宮田亮平先生作の壮大なイルカのアートが迎えてくれる。これは、本学の長堀守弘前理事長と宮田先生の熱い思いが重なり合って実現したもので、本学の前途を象徴した大変力強い作品となった。

さて、18歳人口の減少など、大学を取り巻く厳しい環境は周知の事実だ。本学は全力をあげて教育の質的変換、国際化、情報化への速やかな取り組みを進めている。

当然、それらを支える建物についてもきめ細かな計画と推進が必要となる。鉄骨鉄筋または鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年(税法上の有形減価償却の耐用年数)で、おおよその建て替え時期はデータ上分かっている。旧耐震基準で建築された建物の耐震工事は完了し、創立130周年記念事業で、老朽化した建物をスクラップアンドビルドで建築した。しかしながら、依然として老朽化した建物は存在しており、今後の大きな課題は、それらをいかに効率よく、安全を優先して建替えていくかである。財政的にも、限られた収入の中で、教育研究、国際化等の諸施策を推進しつつ、施設整備計画を進めていかなくてはならない。定期的な改修工事、電気・機械設備の更新、新築工事はもちろん、大規模な施設整備計画も策定しなければならない。

現在、財政健全化に向けて、学校法人明治大学財政検討委員会を立ち上げ、検討に入っている。その中には、中期計画策定に係る施設設備整備計画および既存施設の建替整備計画も含まれる。施設整備にあたっては建物の優先順位を決定し、早い段階から少しでも多くの第2号基本金(計画組入資産)を積み立てるべきだろう。

だからと言って、教育研究には必要な予算は配付しなくてはならない。いままでも、社会に、世界に貢献する人材を育成してきた本学だが、これまで以上に有為な人材の入学機会を増やし、世界が求めている人材教育を行い、世に輩出していくことが使命だからだ。

施設整備には多額の予算を投じなければならない。いかに収入を増やすか、どのような重点政策をとっていくか、大学の存立にも影響する財政計画は今後ますます重要になる。世界的な厳しい経済状況下で、少しでも支出を減らすため、全学的に無駄を省いていくことも必要だ。

また、新築建物を建設するには、基本構想の策定、設計業者の選定、基本設計、実施設計、住民説明会、建築確認申請、施工業者選定等構想から竣工まで、中規模建物でも2~3年の期間が必要である。大規模建物となると3~4年になる。さらに、市街化調整区域に建物を建築するとなると、構想から竣工まで4~5年が必要で、自然環境調査の状況によっては、さらに2~3年かかる場合もある。

本学の理念と使命に基づく施設整備を含む諸施策の推進と事業遂行には、きめ細かな財政計画の策定と、その基盤づくりが喫緊の課題なのである。
(調達部長)