本書は、1990年代中葉から2010年までのロシアの会計改革を、会計基準、財務会計、監査制度、税務会計、管理会計、会計理論などの諸領域から考察したものである。
つまり、ソ連が解体し、社会主義計画経済から市場経済に移行する過程で企業会計がどのように変容したかを明らかにした貴重な労作である。
この過程を「二重のビッグ・バン」だという著者の指摘は、興味深い。すなわち、この時期にロシアは、西側諸国の会計制度を模倣することによって社会主義会計から資本主義会計への大転換を進めてきたが、模倣の対象であった西側諸国の会計制度そのものも経済グローバル化のなかで急速な変化を遂げてきた。そのような意味での「二重のビッグ・バン」はロシア会計にとって実務的にも心理的にもストレスに満ちた過程であった。
しかしそれから20年を経た今、ロシア会計学界の中に、西側諸国の会計制度のもつ問題性、さらにはその背後にあるグローバル経済の問題性をも問う潮流が生まれてきたことが示唆されている。
加藤志津子・経営学部教授(著者は名誉教授)
つまり、ソ連が解体し、社会主義計画経済から市場経済に移行する過程で企業会計がどのように変容したかを明らかにした貴重な労作である。
この過程を「二重のビッグ・バン」だという著者の指摘は、興味深い。すなわち、この時期にロシアは、西側諸国の会計制度を模倣することによって社会主義会計から資本主義会計への大転換を進めてきたが、模倣の対象であった西側諸国の会計制度そのものも経済グローバル化のなかで急速な変化を遂げてきた。そのような意味での「二重のビッグ・バン」はロシア会計にとって実務的にも心理的にもストレスに満ちた過程であった。
しかしそれから20年を経た今、ロシア会計学界の中に、西側諸国の会計制度のもつ問題性、さらにはその背後にあるグローバル経済の問題性をも問う潮流が生まれてきたことが示唆されている。
加藤志津子・経営学部教授(著者は名誉教授)