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法科大学院が「私の弁護士像−阪神大震災、大阪、気仙沼、東日本大震災、それから−」を開催

現在も150件の事案を抱えながら精力的に活動する様子を披露した

法科大学院は6月18日、宮城県気仙沼市を拠点に活動する弁護士を招き、「私の弁護士像−阪神大震災、大阪、気仙沼、東日本大震災、それから−」(明大震災復興支援センター後援)を開催した。会場には、法科大学院生らが訪れ、被災地や弁護士過疎地域での弁護士活動について熱心に耳を傾けた。

講師は、兵庫県明石市出身で、現在気仙沼市を拠点に活動している東忠宏弁護士が務めた。大阪の弁護士事務所で勤務後、「雪が降る地域で、初代所長として自分の事務所を開設したい」と、気仙沼市の公設弁護士(弁護士過疎地域の法律事務所)に応募し、2007年から同市で活動している。高校時代に阪神大震災、気仙沼市で東日本大震災を経験した。

講義では、東弁護士が自身の経歴や地方での弁護士活動の実情について、スケジュールを見せながら詳述。気仙沼市には弁護士が3人しかおらず、大量の相談と受任事件が押し寄せるほか、債務整理や一般民事、刑事事件など多種多様な事件に対応しなければならないことなどを述べ、「地方では裁判所や拘置所なども遠く、出張や移動にも相当な時間を取られる。火曜と金曜は午前4時半に起きて出勤するなど時間の使い方を工夫している」などと忙しい仕事を効率的に進める方法などを紹介した。

そして、東日本大震災による被災状況や、復旧・震災に関わる活動事案を説明。津波で流された木片などでふさがれた近隣の道路や、2階まで泥に浸かった事務所の様子などを写真で示し、「震災1カ月後の4月3日には仮設事務所の再開にこぎ着けられた。地元の方々との日頃からの協力が早期再開につながった」と話し、現在は、震災で家を失い、住宅ローンだけが残った方の被災ローン減免や仮設住宅での法律相談会に精力的に取り組んでいることなどを話した。

最後に聴講生へのメッセージとして、先人たちの言葉を紹介。そして、「どのような弁護士になるべきかを今の時期にしっかり考えてほしい。そのために先人の弁護士たちが事案にどう取り組んできたのか学んでください」と呼びかけた。