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国際総合研究所シンポ「日本のコーポレートガバナンスのあり方を考える」

白熱するパネルディスカッションに、メモをとりながら聞き入る来場者の姿が多く見られた

国際総合研究所は7月22日、駿河台キャンパス・グローバルフロントで、コーポレートガバナンス研究会によるシンポジウム「日本のコーポレートガバナンスのあり方を考える」を開催した。会場となったグローバルホールには、企業関係者や研究者を中心に約200人が来場して満席となり、コーポレートガバナンスのあり方や同研究所への関心の高さをうかがわせた。

開会に先立ちあいさつに立った林良造所長は、コーポレートガバナンス研究会が取り組む研究テーマやシンポジウムの開催趣旨を説明し、「今回のシンポジウムを通じて、新たな日本の進路へのメッセージを汲み取ってもらいたい」と期待を述べた。

続いて「コーポレートガバナンスを巡る政策動向」をテーマに、経済産業省経済産業政策局の西山圭太審議官が基調講演を行った。西山氏は昨今の日本企業のIRの現状に触れ、「投資家との対話の促進やコーポレートガバナンスの改善に取り組まなければ、再び投資家に逃げられてしまう」との懸念を示した。そして、そのためには社外取締役の選任が必須だとし、「社外取締役の役割を『外から来たお目付け役』ではなく、『経営戦略を進めるための人材』ととらえる発想が大事」と述べ、具体的に社外取締役を置いた企業の改善例を示した。

次に、議決権行使助言会社ISS Japanの石田猛行氏が「議決権行使ガイドラインと2013年度株主総会の動向」について講演。同社が定める取締役・監査役選任のポリシーや、社外取締役や独立社外取締役の割合が増えつつある取締役会の数の推移を紹介した後、「社外取締役は健康保険のようなもので、今は大丈夫だと思っていても長期的に考えれば導入するべき。業績が悪化したときに慌てて導入しようと思っても、適任者は見つからない」と提言した。

休憩を挟んで「日本のコーポレートガバナンスのあり方を考える」をテーマに、パネルディスカッションが行われた。コメンテーターとして中央大学法科大学院の大杉謙一教授、東京証券取引所常務取締役の静正樹氏、野村ホールディングス執行役員の永井智亮氏、旭硝子取締役常務執行役員の藤野隆氏が登壇し、国際総合研究所フェローの藤田純孝氏がモデレーターを務めた。

静氏は、直近20年間の東証株価指数やROE(株主資本利益率)の推移を解説。先進国の中で日本のROEの指数が飛び抜けて低い原因として、日本企業株の利回りの悪さを指摘した後、社外取締役の選任による経済の活性化、株価上昇への期待を示し、大杉氏も同意した。その後も、コーポレートガバナンスの体制の強化・充実に取り組む企業から、永井氏と藤野氏がそれぞれの成功事例を示して検証が行われるなど、企業の中長期成長に向けたコーポレートガバナンスの課題や、内外から改革を迫られている日本のコーポレートガバナンスのあり方について活発な議論が行われた。