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「大学での学びを問い直す」シンポジウム 納谷学事顧問がパネリスト発表

「前へ、そして世界へ」と明治大学の挑戦を熱く語る納谷学事顧問

本学前学長で大学基準協会会長の納谷廣美学事顧問は6月28日、有楽町朝日ホール大ホールで行われた、高等教育シンポジウム「大学での学びを問い直す —主体的な学びを培う大学教育とは—」(朝日新聞社主催、文部科学省後援)で登壇し、約400人の聴衆を前にパネリスト発表を行った。

シンポジウムでは、2008年に「学士力」を提唱した中央教育審議会の答申以降、大学がどのように変革してきたのかを検証し、めまぐるしくグローバル化が進む社会に人材を輩出する組織としての大学のあり方や、21世紀の高等教育について、産学官を代表するパネリストが多面的に議論した。

朝日新聞社の長谷川智教育総合センター長の開会のあいさつに続き、日本高等教育学会長の金子元久筑波大学教授が「大学での学びを問い直す —改革の現段階とその次—」と題し、基調講演を行った。
続いて行われたプレゼンテーションでは、納谷学事顧問が、学長としての経験を踏まえ「これからの学び—前へ、そして世界へ(明治大学の挑戦)—」と題し、熱のこもった発表を行った。前半部では、歴史的分岐点に立脚している現在の日本の状況を踏まえ、統計的な資料も提示しながら、「戦後教育にみられるような合理性・効率性ばかりを追求する社会でよいのか」「フランスの人口は6500万人、ドイツは8000万人。日本は人口1億人を維持しなければならないのか」「65歳以上を高齢者として議論することは意味があるのか」などと問題を提起した。

中盤では、「学問の自由が保障されないと社会は成り立たない」と前置きした上で、大学のガバナンスに必要な要素を挙げながら、当時学長リーダーシップの下、明治大学が取り組んだ、世界的研究拠点の形成(グローバルCOE)や、国際化拠点整備事業(グローバル30)などの実例を紹介した。

結びでは、大学改革の方向性として、21世紀社会の持続的発展を支える人材の育成について言及。「世界各国の歴史や文化を考慮しつつ、グローバルな視野を持って今の社会情勢を理解しうる人材、人々が希望(夢)を持って、人として生きていける社会の実現に資する人材を育成していかなければならない」とした。また、21世紀における生きる力の創造、教育目標の原点として、駿河台キャンパスに近い神田錦町の公園に掲げられているスローガン「よい子、強い子、役立つ子」を紹介。つまずきがあっても乗り越えることができる人材の育成が必要とされていると訴えると、会場からは万雷の拍手で賛同の意が示された。

納谷学事顧問に続き、金沢大学理事の中村慎一副学長(教育担当)が「金沢大学の学域学類制は学びをどう変えたか」、文部科学省の常盤豊大臣官房審議官(高等教育担当)が「大学と社会 —専門性と汎用性—」、ニチレイの浦野光人相談役が「On Campus と On Community —財界が求める力とは—」と題してプレゼンした。

休憩を挟み行われたパネルディスカッションでは、「主体的な学びを培う大学教育とは」をテーマに、朝日新聞の各務滋論説委員(教育担当)がコーディネーターを務め、大学教育のあり方をめぐって議論が繰り広げられた。