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M-Naviプログラム 坐禅と写経 —「空」になり、心を整える

「延命十句観音経」を写経、願い事を書き入れお守りに 「仏教」「空」「禅」などについて学んだ

姿勢を正して座った状態で精神統一を行う、禅の基本的な修行法である「坐禅」。経典を書写すること自体に功徳があると説かれている「写経」。この2つの体験を通じて、精神鍛錬の方法を習得するとともに、仏教について考える機会を目的としたM-Naviプログラム「坐禅と写経を体験しよう」が7月6日、東京都世田谷区にある龍雲寺で開催され、明大生約30人が参加した。

当日、プログラムの参加学生は、東急東横線の学芸大学駅に集合。M-Navi学生委員5人の先導で、歩いて15分程の龍雲寺に向かった。

スタートは、寺に隣接する東京禅センターでの写経体験。小林秀嶽師(圓光寺住職)から、「写経は、僧侶の読経と同じです。手を使って書くことによって、自然と心に入ってきます。背筋を伸ばし、きれいな姿で、丁寧に書いてください」との説明を受けた後、約1時間かけて「延命十句観音経」を書き写した。

休憩を挟み、場所を本堂に移しての坐禅体験は、お経を読んだのち、15分間の坐禅を2回行った。龍雲寺住職の細川晋輔師は、坐禅の心構えを「無の心に近づくこと。姿勢・呼吸・心を整え、人生の句読点として、ちょっと一息入れるくらいの気持ちで取り組んでください」と説明した。学生からの「坐禅によって何か得られますか」との質問に、細川師は「何もない。逆に赤ちゃんの心を目標にしてほしい。好きとか、嫌いとか、欲しいとか、知らないうちに心にまとってしまった鎧を一枚一枚はがすことが坐禅だと思ってください」と説明。そして、坐禅の際に、クーラーや扇風機を使わないことについても、「暑いときには、暑さに向き合う。風の涼しさを感じ、風が木々の葉を揺らす音を聞くのも坐禅です」と説いた。

坐禅の後、小林師から「約2500年前に成立した仏教は、『許す』と『認める』がキーワード。代表的な考え方は『空』で、身近な暮らしの中にあり、『気づき』によってそのことを知ることができる」などの法話を受け、皆でお茶を飲む「茶礼」でプログラムを終了した。

M-Naviプログラム「坐禅と写経」体験記

友人に誘われてこのプログラムに参加しました。このように心を落ち着かせ、「無」に近い状態にするという時間は大変貴重で、とても良い時を過ごせました。
坐禅に写経、何もかもが初めてだったのですが、日常から離れ、楽しく行うことができました。「人生の句読点をつける」ということで、就職活動が終了したこの時期に参加できてよかったです。
岡本摩湖さん(情コミ4)

坐禅、写経となんとも渋い体験に思われますが、心を「空」にし、静かに筆を走らせることで、慌ただしい日々に句読点を打ち、自分を見直すきっかけになりました。
お寺の本堂にはそよ風が吹き込み、葉の揺れる音、鳥の鳴き声が鮮明に聞こえるので、夏の暑さも、ここが東京であることも分からなくなる程でした。
大学のプログラムらしく、お坊さんによる仏教の解説や質問コーナーなどもあり、普段なかなか聞けないお寺の疑問を学ぶことができたのも良かったです。坐禅と写経という、学生ではなかなか手が伸びない企画をしてくださった学生委員の方々に感謝です。
奈良岡益世さん(情コミ4)

初めての写経、そして坐禅は、暑い夏と慌ただしく過ぎていく生活を忘れさせてくれるような素敵な体験でした。
「写経や坐禅を通して日々の生活に句読点をつけてください」という龍雲寺の住職さんのお言葉。何となく過ぎていく毎日を今までゆっくり振り返ることがなかった私にとって、とても心を揺さぶられる言葉でした。句読点がなければ、美しい文にはならないように、日々の生活も一呼吸つく時間をとることで明日がより活かされていくのだと思います。写経や坐禅を通してたくさんの人に心のゆとりを感じてもらいたいです。
春山茉也さん(情コミ4)