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日本ASEAN相互理解プログラム科目 留学体験記

国際連携機構は今年度、「日本ASEAN相互理解プログラム科目」を新設した。この科目では今夏、「東南アジア文化・専門集中講座」として、ベトナムのホーチミン市国家大学人文社会科学大学と、フィリピンのアテネオ・デ・マニラ大学で約4週間の短期研修を実施。ベトナムへは24人、フィリピンへは14人の学生が渡航し、現地で東南アジア地域の政治経済、社会、文化について学ぶとともに、英語での受講を通じて実践的な英語力を養った。同短期研修に臨んだ日下舞さん(農2)と、大野雄祐さん(政経1)の体験記を紹介する。

ホーチミン市国家大学人文社会科学大学(ベトナム)

交流会でプレゼンテーションをした仲間たちと(前列左から3番目が日下さん)

異食文化に接し、新たな未来へ開眼

農学部2年 日下 舞さん


8月2~31日、ベトナムのホーチミン市国家大学人文社会科学大学で短期研修に臨みました。今回のプログラムではベトナムの歴史、農業問題、教育、外交などについて英語で講義を受けたほか、授業以外でも、英語圏の出身でない友人と知っている英単語を駆使して会話を繰り返し、とてもよい語学の鍛錬になりました。
私がベトナムを研修先に選んだ理由の1つに、ベトナムの食文化に興味があったことが挙げられます。将来、食品会社で開発や研究をしたいと考えていますが、渡航前はベトナムで学んだことと将来の夢がどうつながるのか、具体的にはイメージできませんでした。ところが、実際にベトナムに行ってみると、現地には多くの日系企業が進出しており、スーパーやコンビニでは日本の食べ物がたくさん売られているのを目にしました。日本でよく知られているお菓子や飲み物が、現地の人の好みに合わせて味を少し変えられ、同じパッケージのまま売られていました。また、「OISHI」という名の菓子メーカーもあり、日本の影響を大いに受けていることが分かりました。こうした状況を知るにつれ、「日本にあって海外にないものを広げるための開発」という仕事にも興味を持つようになりました。このような考えに至ったのは、実際に外国へ出向き、1カ月間現地の人と同じものを食べる経験をしたからこそでしょう。日本食とは違う、異食文化に触れ、将来の夢についてのヒントを得られたのも非常に良い経験になりました。

親日家の多いベトナムでは、日本について話す機会が多々ありましたが、質問に答えられないこともしばしばでした。日本について知らないことがたくさんあるということは、この海外研修に参加して初めて気が付いたことです。これまでは、「海外についてもっと知りたい」と思ってきましたが、その前に、「日本についてもっと知らなければならない」と痛感しました。こうした意味でも、自分の意識が変わった貴重な経験ができた海外研修でした。

アテネオ・デ・マニラ大学(フィリピン)

滞在中親しくしていた地元の人と(後列右から3番目が大野さん)

人生で最も充実した1カ月

政治経済学部1年 大野 雄祐さん


8月16日~9月14日、フィリピンのアテネオ・デ・マニラ大学での短期研修に参加しました。現地では先生が一人ひとりの発音を確認したりするなど、個人個人に丁寧な指導があり、英語力をまんべんなく伸ばすことができました。語学授業以外にもさまざまな活動が企画され、歴史的な教会や美術館に行ったりフィリピン料理を作ったりして、フィリピンの文化や社会について理解を深めることができました。

授業以外の時間でも町で英語を話し、聞き取ることで十分な学習になりました。個人的な取り組みとして、洋書を1冊買って1カ月かけて読み、リーディングに対する大きな自信になりました。

初めての海外ということもあり、見るものや感じるものすべてが刺激的でした。渡航前は日本と異なる環境で過ごすことに不安を感じていましたが、現地に行ってからは多少の苦労はあったものの次第に慣れることができました。地元の人と親しくなって会話をしたり、ご飯を振る舞ってもらったりしたことは忘れられない思い出です。フィリピン人の親切さや明るさが大好きになり、「絶対また帰ってきたい」と思いました。

フィリピンは貧富の差がとても大きく、豪華なブランド品店で買い物をする裕福な人がいる一方、その店の近くには貧困街があり貧しい人々が生活していました。こうした発展途上国の現実を目の当りにし、自分の視野が広がるとともに、アジアに対する興味が一層増しました。

以前から長期の留学をしたいという思いがありましたが、今回の留学を経験してその思いは一層強くなりました。「長期留学で語学力をさらに強化したい。留学するためTOEFLなどの資格の勉強に力を入れたい。もっといろいろな国で生活して現地の人々に触れてみたい。将来はアジアに関わる仕事がしたい」と思っています。

たくさんの人と出会い、貴重な経験をすることができたこの短期研修は、自分の人生の中でも最も充実した1カ月でした。