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教育開発・支援センターNHKドキュメンタリーを用いた初年次教育プログラム

戦後70周年を見すえて-戦争と平和-

参加者らは真剣な表情でドキュメンタリーに見入っていた 上映後には、制作者と観覧者で活発な質疑応答が行われた

明治大学教育開発・支援センターは11月13~19日、NHKドキュメンタリーを用いた初年次教育プログラム「戦後70周年を見すえて-戦争と平和-」を和泉図書館ホールで開催した。

このプログラムは、2年後の戦後70周年を前に、学生たちに「映像」を通じて現代史を学ぶきっかけを提供しようと企画された。NHKで放送されたドキュメンタリーを5回にわたって連続上映。各回とも上映後に番組制作者が講演したほか、会場に隣接するギャラリーで上映作品に関わる図書も展示された。

13日に開催された第1回の上映会では、プログラムをコーディネートした鳥居高商学部教授があいさつに立ち、「今回のプログラムは、NHKの協力を得て今年度初めて実現した。ドキュメンタリーを観るだけでなく、制作者と会場の観覧者の“キャッチボール”を通じて、作品への理解を深めると同時に、映像の持つ力について考えてみたい」と企画の主旨を説明した。

続いて、2006年2月に放送された「日中戦争~なぜ戦争は拡大したのか~」(芸術祭テレビ部門大賞受賞)を75分間上映。同番組は、1937年の盧溝橋事件に端を発した日中戦争の8年間について、当時の兵士の証言や軍事記録、各国指導者の思惑などを織り交ぜながら丁寧に追ったもので、会場を訪れた約30人は時折熱心にメモを取りながら、作品に見入っていた。

上映後には、同番組を制作した東野真氏(NHK制作局文化福祉番組部チーフプロデューサー)が、約30分講演。東野氏は「戦争全体の流れを俯瞰する“鳥の 目”と、現場の兵士の視点“虫の目”の両方を交錯させることや、国際的な視点を意識して番組を作った」などと制作の工夫を説明した。その後、取材時の苦労 や取材者の選定方法、ドキュメンタリーを制作する上での喜びなどについて、会場から質問を受けながら回答した。

上映会に参加した山越靖子さん(文1)は「本だけではイメージできない、映像だからこその迫力やインパクトがあった。戦争当事者の声も聞け、現代史を学ぶ上での良いきっかけとなった」と話していた。

上映会は14日・15日・18日・19日にも開催され、それぞれ「日本海軍400時間の証言~第2回 特攻“やましき沈黙”」「原爆投下 活かされなかった極秘情報」「シリーズ アジアと太平洋戦争 第一回ジャカルタの一番熱い日~インドネシア独立戦争~」「日本国憲法誕生」の上映と、制作者による講演が行われた。