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人権委員会 元欧州人権裁判所所長が福宮学長を表敬訪問

講演会「国境を<超える>人権」を開催



世界人権研究所所長で元欧州人権裁判所所長ジャン=ポール・コスタ氏が11月27日、駿河台キャンパスを訪れ、福宮賢一学長、勝悦子副学長(国際交流担当)らと、リバティタワー23階の貴賓室で懇談を行った。欧州人権裁判所は、ストラスブール(仏)に位置し、47締約国を擁し(人口8億人)、世界でも最も高い実効性と信頼性を獲得している。

福宮学長は、本学創始者がパリ大学でフランス法学を学び、建学の精神「権利・自由・独立・自治」ができたことを説明。「国境を越えて人類普遍の理念を築けることを誇りに思う」とあいさつをした。コスタ氏は、今回の来日は、大学や最高裁判所の訪問、国際人権法学会での講演等を目的としていることを述べ、「今回、国境を越えた裁判官同士の対話、学術機関との対話ができた。大学は非常に重要な機関であり、明大で講演ができることも大変光栄」と語った。

続いてコスタ氏は、同氏が所長を務める世界人権研究所(ノーベル平和賞受賞者ルネ・カサンが創設)は今年で44回目の人権セミナーを開催したが、「近年ではマリ、レバノンやハイチでも現地の大学等と連携して人権セミナーを行っている。現在はアジアでの普及を目指し、日本にも支部を開設できることを期待している」と語ると、勝副学長は「本学は2年前に国連アカデミック・インパクトに参加した。また、人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチには学内の事務所を提供している。こうしたことからもおわかりのように私たちは人権に対して非常に高い関心を持っている」と述べた。また、小室輝久准教授(法学部)から 「医療と法と論理専門総合資料館(仮称)ELM」プログラムなどが紹介されると、コスタ氏は「ヨーロッパでも生殖医療や死ぬ権利が問題となっており、興味 深い」と述べた。


懇談後は江島晶子教授(法科大学院)が通訳を務めるなか、コスタ氏による特別講演会「国境を<超える>人権」が開催され、一般や学生を含め約100人が参加した。

講演会は、江島教授のあいさつで始まり「今回の演題『国境を超えて』にあえて『超えて』という表現を使ったのは、単に国から国へ場所が移されるのではなく、人権が国境という概念を超越することを強調するため」と説明し、「今回の講演をどこか遠いところの話としてではなく、身近な問題につながるものとして聞いてほしい」と述べた。

講演では、コスタ氏は「何世紀もの間、人類は人権の重要性を意識してこなかった。意識されるようになったのは比較的最近のこと」と述べ、地域的国際的人権保障の成り立ちや将来について語った。

コスタ氏は最後に、「人権は『普遍的』だろうか?」「日本は、地域的またはサブ地域的システムの一部になりうるだろうか?」と聴衆に質問を投げかけ、「私 個人としては人権の未来はとても開けていると思いますが、それを答えるにふさわしい立場にあるのは私よりも、皆さんなのです」と締めくくった。