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研究・知財戦略機構 フォーラム「表層メタンハイドレートの資源化を目指して」を開催



ホール隣の多目的室では、実際に採取された「メタンハイドレート」の公開や、ポスター発表もされた 明大ガスハイドレート研究所長の松本特任教授 調査報告をめぐって活発な質疑応答が行われた

明治大学は1月23日、産業技術総合研究所と共同で、フォーラム「表層メタンハイドレートの資源化を目指して」を駿河台キャンパス・グローバルホールで開催した。

メタンハイドレートは、メタンやエタンなどの炭化水素ガスと水分子がつくる氷状の固体物質。火をつけると燃焼するため「燃える氷」とも言われ、発電や都市ガスに利用できる新たなエネルギー資源として注目されており、水深1000~2000メートルの海底からさらに250~300メートル下の砂層に存在する「砂層型」と、水深500~1000メートルの海底面から海底下数10メートルまでの表層付近に塊状の集積体で発見される「表層型」がある。前者は南海トラフと呼ばれる太平洋側で見つかっているのに対して、後者は日本海に広く分布する。

明治大学ガスハイドレート研究所代表の松本良特任教授らによる研究チームは、経済産業省資源エネルギー庁の委託を受け、昨年6月から10月にかけて日本海の上越沖および能登半島西方沖にて、表層型メタンハイドレート調査航海を複数回に分けて実施。この日は、地形地質調査、周辺環境調査の結果が報告された。

冒頭のあいさつで日髙憲三理事長は「エネルギーの安定供給は、震災以降、多くの人が関心を持つ重要な問題」と述べ、「松本特任教授はじめ多くの研究者の方々に、じっくりと調査していただけるようバックアップしていく」と社会に貢献する大学の使命について言及した。続いてあいさつに立った経済産業省の高倉秀和氏は「太平洋側の『砂層型』についてはさまざまな調査や研究が進められているが、主に日本海側に存在する『表層型』はまだ十分な評価をされていない」とした上で、「産業界、大学研究者、資源エネルギー庁が力を合わせて資源化を目指していく」との展望を示した。

フォーラム本編では、松本特任教授より日本海の地質構造、探査方法などについて解説があった後、2013年度に実施した地質調査や環境モニタリング調査について産業技術総合研究所の棚橋学氏、東京家政学院大学の沼波秀樹教授、松本特任教授の3人が詳しい口頭報告を行った。松本特任教授は広域地形地質調査の報告として、上越沖(富山トラフ)、能登西方(隠岐トラフ東半部)を調査して1293地点の候補地を抽出した。このうち382地点について詳細な地下構造調査を行って225地点で、表層型メタンハイドレートに特有なガスチムニー(ガスの移動通路)が確認されたことを明らかにし、両海域での表層メタンハイドレートの資源量は想定されているよりも多いとの見方を示した。

その後、秋田大学の内田隆教授と松本特任教授による学術調査報告に続いて、明治大学ガスハイドレート研究所の蛭田明宏ポストドクター研究員ら7人が「表層ハイドレートの起源と生成過程」をテーマに研究報告を行い、次世代の新エネルギーとしてメタンハイドレートの資源化に関心を寄せる企業関係者をはじめ、200人を超える来場者がその組織構造や意義について耳を傾けた。