Go Forward

正課外教育の重要性とその懸念

副学長(学務担当)兼学生部長 松橋 公治

学生のサークル離れが言われて久しい。課外活動に「積極的に参加」している学生が私大連平均では49.5%であるのに対して、本学の場合には41.4%であり、残念ながら、その傾向を先取りしている観がある(『明治大学学生生活白書2011』)。同白書は、本学学生の課外活動の状況を、入学当初に参加する意思があったにもかかわらず、何らかの理由で「熱心でなくなる」、「活動中断」あるいは「やめる」といったケースが多いという特徴がある、としている。また、比較的早い段階における躊躇や中断、断念する理由では、本学の場合には「費用がかかりすぎる」(29.3%、私大連平均17.3%)が断トツである。私大連平均の上位3つの理由である「アルバイトと両立できない」(17.8%、同24.3%)、「勉学と両立できない」(17.8%、同21.9%)、「入りたいクラブがない」(14.8%、同20.3%)では、むしろ低いという結果となっている。

なお、同白書で言う「課外活動」は広義のそれであり、サークル活動のほかにダブルスクールやインターンシップなど、いわば正課教育以外のすべての活動を指しているので、問題はより深刻である。ちなみに、「課外活動」をこのように広義に解しているので参加する学生の割合は、私大連平均では「サークル離れ」を他所にむしろ増加傾向にある。本学の集計は2010年が初めてなので、残念ながら、その趨勢は不明である。

旧来からのサークル活動の伸び悩みの中で注目されるのが、サークル以外の活動への参加が目に見えて増えていることである。学生部では、2005年以降、従来からの学生生活支援の充実に加えて、その新たな展開として、「社会人基礎力」における「見えない学力」の育成を目指し、正課外教育(M-Naviプログラム)の充実を図ってきた。2008年からは、ボランティアセンターを開設して、多様な学生の多様なニーズを引き出すべく活動している。前者では年間20プログラムに1,000人弱、後者のボランティアセンターへの来室学生が延べ約6,000人となっている。後者は、リピーターがいるので実質的には1,000人前後と思われる。被災地へのボランティア活動でも、活動助成申請ベースで延べ600人となっている(同上、300人前後か)。明大祭・生明祭、新歓の実行委員は併せて毎年500人を超えている。学生部関係以外でも、毎年夏に行われるオープンキャンパスや、秋に実施されているホームカミングデーでも、多くの学生が手伝ってくれている。いずれの活動でも、学生たちの活き活きとして、輝いている様子が実に印象的である。

こうした動向をみていると、確かに「サークル離れ」の傾向はあるにしても、本学の場合には、ますます多様化する学生が、旧来とは異なる多様な活動に参加しているとみてよさそうである。こうした側面からも、正課外教育がますます重要性を帯びてきていることがわかる。ただし、サークル活動が自主的・主体的な活動であるのに対して、参加する学生が増えている上記の活動は、ほとんどの場合、大学がお膳立てをしているそれである。多様な学生に多様な機会を与えるのはよいとしても、大学が「どこまでやるのか」という、別の心配が顔をもたげてくるのも事実である。

(文学部教授)