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商学部110周年特別企画・学術シンポジウム

「ビットコインは貨幣なのか? 通貨の現在・過去・未来 」

「価値が保証されないビットコインは、日銀が発行する貨幣とは全く違う」と浅井講師

商学部は5月13日、和泉図書館ホールにて商学部110周年特別企画・学術シンポジウム「ビットコインは貨幣なのか?—通貨の現在・過去・未来—」を開催。ニュースなどでも話題の仮想通貨『ビットコイン*』がテーマだったこともあり、座席数120席のホールに立ち見が出るほどの盛況となった。

最初に商学部の伊藤隆康教授が、発券銀行である日本銀行が担っている、物価・金融システムを安定させる役割や、国内に流通する貨幣についての講義を行った後、商学部の浅井義裕講師が、「対価」として生まれた貨幣の歴史と、新しい「対価」の一つである『ビットコイン』を使用するメリット・問題点について解説した。

講義内で伊藤教授は「毎日のように使用する日銀券(紙幣)の信用が、私たちの生活を支えている。中央銀行である日銀に興味を持ち、通貨の将来について思い を巡らせてほしい」と述べ、浅井講師は「このシンポジウムで得た基本的な知識をもとに、今後の金融システムについて皆で考えよう」と訴えた。

質疑応答では、仮想通貨が話題となるような現在の日本の金融政策についても触れられ、『ビットコイン』を通じて日本の金融システムの未来を考えるシンポジウムとなった。

*ビットコイン
2009年に誕生したインターネット上の仮想通貨。金融機関を通さずに決済ができるため、日常的な支払いや資産の持ち方として世界で浸透してきた。今年2月に大手取引所が経営破綻したことで話題に。マネーロンダリングや違法な物の売買に使用される懸念があり、米財務省は規制指針を公表。日本政府も「通貨に該当しない」とし、貴金属などと同様の「商品」として扱う見解を示している。