巷間にあふれる入門書。その中に読んでよかった、面白かったと言われるものはまずない。入門書の場合の対象が初心者ゆえ、あまりにも常識的事項を書き連ね、著者の息遣いが伝わらないからだろう。
その意味でこの一書は珍しい。確かに目次を眺めると、初心者を対象としているのが見て取れる。ところが、読み進めるごとに読者の知的好奇心は深まってゆく。読者は著者と一体となって真の啄木に出会うための旅に出ることになる。その旅が面白いのは、他ならぬ著者自身の抱いた疑問を一緒に読み解いて行くからに他ならない。啄木は借金を踏み倒したのか、本当に親不幸だったのか、なぜ妻に冷たかったのか……こういった疑問が次々と解消してゆく。
さらには、教科書掲載の啄木作品と社会性の問題、CMに使われた啄木歌の考察、そして人類普遍のモデルとしての啄木世界、こういった刺激的でありながら謙虚な語り口は、必ずや多くの読者と幸せな出会いを重ねていくことだろう。
西山春文・商学部教授(著者は政治経済学部、教養デザイン研究科教授)
その意味でこの一書は珍しい。確かに目次を眺めると、初心者を対象としているのが見て取れる。ところが、読み進めるごとに読者の知的好奇心は深まってゆく。読者は著者と一体となって真の啄木に出会うための旅に出ることになる。その旅が面白いのは、他ならぬ著者自身の抱いた疑問を一緒に読み解いて行くからに他ならない。啄木は借金を踏み倒したのか、本当に親不幸だったのか、なぜ妻に冷たかったのか……こういった疑問が次々と解消してゆく。
さらには、教科書掲載の啄木作品と社会性の問題、CMに使われた啄木歌の考察、そして人類普遍のモデルとしての啄木世界、こういった刺激的でありながら謙虚な語り口は、必ずや多くの読者と幸せな出会いを重ねていくことだろう。
西山春文・商学部教授(著者は政治経済学部、教養デザイン研究科教授)