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「スーパーグローバル大学創成支援」が促すもの

副学長(広報担当) 長尾 進

5月末、本学は「スーパーグローバル大学創成支援」事業(タイプB)に申請し、構想調書を提出した。この事業では、世界レベルの教育研究を行うトップ10大学(タイプA)と、日本の大学の国際化を牽引する20大学(タイプB)の採択が予定されている。また、最大10年の事業であり、支援額も数十億円に及ぶ。先日も、英教育専門誌(THE)がアジア地域の大学100校のランキングを発表した。日本は東大の1位を筆頭に最多の20校であったが、中国・韓国をはじめとする他の追い上げも著しいことが明らかになった(日本経済新聞6.19)。こうしたランキングの妥当性・信頼性には従来から疑問も呈されているが、一方で、各国の高等教育が戦略的な展開をみせ、学生や研究者の流動性が拡大していることは事実であり、日本の大学の体制や組織文化に「国際通用性」が求められていることが本事業の背景である。

「国際化」という面においては、本学は国際日本学部の開設、G30採択とその後の国際化関連3GP採択、英語学位コースの開設、協定校数の拡大、留学生受け入れ増、アセアンセンターの開設等々、他にひけをとらない施策を推進してきた。本事業において本学は、「主体的に学び、考え、行動し、多様な価値観の中で、新たな未来を切り拓くグローバル人材(卒業生毎年8000人)を世界に送り出す」というメッセージのもとに、本学の整備してきた(あるいは、整備しつつある)あらゆるリソースを生かしながら、10年後には「2人に1人が単位修得を伴う海外留学を経験。100%の学生が国内外での異文化体験」という目標を設定した。

一方で、本事業(タイプB)で審査上の配点も高く設定されているのは「共通の成果指標と達成目標」の部分であり、専任教職員における外国人及び海外大学での学位取得割合や、海外からの留学生の割合等の「多様性」、日本人学生の留学経験割合増などの「流動性」、英語学位コース増と語学力向上の取組、ナンバリングやGPAなど「教務システムの国際通用性」、柔軟な学事暦や渡日前入試等の「国際開放度」、テニュア・トラックの導入やIR機能の充実等を含む「ガバナンス改革」、学生の実質的学びの時間確保、TOEFL等外部試験の学部入試への導入、大学院との5年一貫制課程等の「教育の改革的取組」などである。採択へ向けて最大限の努力をしなければならないことは言うまでもないが、採択の如何にかかわらず、上記した事項の数々は、これからは日本の大学が「標準装備」として整備していかなければならないものである。これらの事項について本学では、すでに一定の成果を出してきたものもあるが、大方はこれから意欲とスピード感をもって進めていかなければならない。現在進めている「総合的教育改革」はその第一歩であり、学生の実質的学びの時間確保、流動性を高めるための柔軟な学事暦、教員の研究時間確保等を視野に入れたものである。

最後に。10年後、こうした改革の成就の先、さらなる明治の発展を担うのは、現在の中堅・若手の教職員の方々であり、その大なる力量の発揮に大いに期待している。

(国際日本学部教授)