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「シモーヌ・ヴェイユの生涯 ~人間共同体の一員として生きる~」開催

講演でヴェイユ氏の功績をたたえるペロル氏

リバティアカデミーは6月13日、オープン講座「シモーヌ・ヴェイユの生涯~人間共同体の一員として生きる~」を中野キャンパス・5階ホールで開催し、約150人が受講した。講師には、翻訳家で『シモーヌ・ヴェーユ回想録』を翻訳した石田久仁子氏と、フランス大使館文化部次席参事官のシドネー・ペロル氏を招き、両氏はヴェイユ氏の生涯やフランス社会に与えた影響について講演した。

講演に先立ち、藤江昌嗣副学長(社会連携担当)が福宮賢一学長のあいさつを代読。ヴェイユ氏と本学との繋がりに触れつつ、「ヴェイユ氏からいただいた寄付を『明治大学シモーヌ・ヴェイユ基金』として積み立て、昨年度から本格的に運営が始まった。その一環として、今回の講座開催が決まった」とこれまでの経緯を説明した。

「シモーヌ・ヴェイユの生涯」をテーマに講演した石田氏は、ヴェイユ氏を「フランスの良心を代表する政治家」と称した上で、幼少期やアウシュビッツ収容所での経験、夫と3人の息子との生活、政治家としての活躍について時代背景を踏まえながら紹介。

「ヴェイユはアウシュビッツ収容所での生活や帰国後に受けたユダヤ人差別などの経験から、3つの人生のテーマを定めた。1つ目は人権・自由・尊厳の擁護。2つ目は平和構築。3つ目は歴史の記憶。これらのテーマに沿ってヴェイユは活躍し、多くの功績を残した」とヴェイユ氏をたたえた。

続いて、ヴェイユ氏の国会演説の様子が上映された後、ペロル氏が「シモーヌ・ヴェイユがフランス社会に与えた影響」をテーマに講演。ヴェイユ氏が保健大臣を務めていた際に成立に向け尽力した人工妊娠中絶法を軸に、ヴェイユ氏がフランス社会に与えた影響について説明した。

ペロル氏は「人工妊娠中絶法の成立に際してフランスでは大論争が巻き起こった。ジスカール・デスタン元大統領のもと、ヴェイユのパーソナリティが大きく影響し法律の成立に繋がった」と話し、「ヴェイユは現代の女性の立場、大義の象徴であり、政治における道徳の象徴のような人物だった」とまとめた。