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MIMS 共同利用・共同研究拠点キックオフフォーラムを開催

この日に至るまでの取り組みを紹介する三村所長 拠点認定の快挙に感謝を述べる福宮学長

先端数理科学インスティテュート(MIMS、所長:三村昌泰特任教授)は7月3日、文部科学省「共同利用・共同研究拠点」に認定されたことを受け、「明治大学GCOEから特色ある共同研究拠点へ」と題するキックオフフォーラムを駿河台キャンパス・紫紺館で開催した。フォーラムでは市民講演会ならびに式典が行われ、学内外の多くの関係者がMIMSの新たな門出を祝した。

市民講演会

「未来へと希望をつなぐ現象数理学の挑戦」をテーマとした市民講演会では、早稲田大学大学院ファイナンス研究科の森平爽一郎教授と、東京大学工学部応用化学科の中西周次准教授が講演を行った。

まず、森平教授が「大災害のリスクファイナンス」と題して講演し、地震や津波、風水害など、発生すると甚大な経済損失を引き起こす大災害リスクについて、 ファイナンス理論と数理モデルを用いて説明。東日本大震災の際に株式市場が示した反応や大災害債権の運用など、実例を交えて大災害と現象数理学との関連性 について話すと、集まった聴衆はメモを取りながら熱心に聞き入っていた。

続いて、中西准教授が「小さな微生物に学ぶ地球規模の環境問題」をテーマに講演し、微生物の機能や特徴、環境・エネルギー問題の基本事象についてスライド や映像を用いながら解説。環境・エネルギー問題への微生物の有用性について説明した。中西准教授は「私たちが微生物から学べることは多くある。例えば、水 を浄化する際に微生物の力を用いることで、必要とするエネルギーを少なくすることができる」などと話し、微生物が持つ可能性に期待を込めた。

式 典

式典では冒頭、福宮賢一学長があいさつに立ち、MIMSが私立大学では初めて数学・数理科学分野で「共同利用・共同研究拠点」に認定されたことについて、関係者に感謝の意を表すとともに、「全学を挙げてこの重責を全うしていく」と決意を語った。

さらに本拠点の特色として「文理融合型」「先端研究と教育組織との一体化」「アクセスの良い立地」「私立大学の柔軟性」の4点を挙げ、「この特色を活かして、現象数理学をこれまで以上に推進していく」と抱負を述べた。

続けて、今回の拠点申請の基盤となったグローバルCOEプログラム「現象数理学の形成と発展」の代表責任者を務めた納谷美学事顧問があいさつ。納谷学事顧 問はMIMS所長の三村特任教授と共に歩んだ10年間を振り返り、「ようやくこの日を迎えることができ、非常に嬉しい。共同利用・共同研究拠点への認定は 明治大学にとって誇りであり、現象数理学の発展のために本拠点を最大限利用してほしい」と期待を示した。

来賓からは、文部科学省研究振興局学術機関課の木村直樹課長、京都大学数理解析研究所の柏原正樹元所長、九州大学マス・フォア・インダストリ研究所の若山正人所長、情報・システム研究機構の北川源四郎機構長がそれぞれ祝辞を述べた。

式典の最後にあいさつした三村所長は、関係者のこれまでの支援に感謝を述べた上で、「これからが我々にとっての第一歩」と気を引き締めた。続けて今日まで の取り組みを振り返り、「理論的な仕組みがわからず経験的に対応していた問題などに対し、モデル構築という手法を用いた数理科学を展開していきたい」と力 強く今後の抱負を語った。