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国連難民高等弁務官(元ポルトガル首相)アントニオ・グテーレス氏に名誉博士学位を贈呈

学位記の贈呈後、握手を交わすグテーレス氏と福宮学長 講演では、難民問題の解決を声高に訴えた

明治大学は11月13日、駿河台キャンパス・リバティタワー岸本辰雄ホールにて、国連難民高等弁務官(元ポルトガル首相)のアントニオ・グテーレス氏に明治大学名誉博士学位を贈呈した。グテーレス氏の国連難民高等弁務官としての社会的実績、とりわけ世界平和に向けた人道的課題解決への多大なる貢献を高く評価したもの。名誉博士学位の贈呈は31人目で、2011年以来3年ぶり。

贈呈式の冒頭、式辞に立った福宮賢一学長は「今回の学位贈呈は、本学にとってこの上なき光栄」とした上で、ポルトガル首相などを歴任し現在に至るグテーレス氏の経歴や功績を紹介。「政治家としても類まれなるリーダーシップを発揮し、人類愛に満ちた確固たる信念のもと、精力的に活動している」と称賛した。

さらに、難民対象の推薦入試実施や「難民映画祭」への参加など、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)と本学とのかかわりにも触れながら、「この度の顕彰を機に、本学のみならず日本とUNHCRとの連携が深まり、難民問題の解決につながることを心より祈念する」と締めくくった。

続いて、福宮学長がグテーレス氏に学位記などを贈呈。さらに日髙憲三理事長から記念品が贈られた。日髙理事長は祝辞の中で、「難民への対応をお手伝いし、世界の平和実現の一助に本学が少しでも携わることができれば、この上ない喜びだ」などと述べた。

最後にあいさつしたグテーレス氏は、1974年にポルトガルで起きた「カーネーション革命」を契機に、大学助教授から政治の世界に転身したエピソードを披露。「それが賢い選択だったか今も悩むところなので、名誉博士学位をいただき、アカデミックな世界に戻れたという思いだ」と語り、大学関係者に礼を述べた。

グテーレス氏は贈呈式終了後、リバティホールに移動し、「国際強制移動の今日的課題~変化する難民問題と日本に対する期待~」をテーマに講演。学生らを前に、世界各地の難民や国内避難民の問題を次々と列挙しながら、「日本もさらに難民を受け入れる国になってほしい。遠い国にも思いを馳せてほしい」などと呼びかけた。

アントニオ・グテーレス
1949年ポルトガル・リスボン生まれ。1971年リスボン工科大学卒業。欧州評議会議員総会員(1981~1983年)を経て1991年、ポルトガル難民評議会を創設。ポルトガル首相在任中(1995~2002年)には、東ティモールでの虐殺を阻止するための国際協力に尽力した。2005年、第10代の国連難民高等弁務官に就任し、現在2期目を務める。