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「グローバル人材」次の一手

経営学部長 牛丸 元

ここ数年、我が国の大学において、本学ほど躍進の目立った大学はないであろう。グローバル30(2009年度)とその後の国際化関連3GPの採択、そして、この度の「スーパーグローバル大学創成支援(SGU)」の採択である。これらは、本学の一貫したグローバル化戦略が高く評価された結果であり、今後歩むべき方向性が明確に形作られたといえる。

SGUにおいて本学は、多様な価値観の中で、主体的に学び、考え、行動する未来開拓力に優れた「グローバル人材」を世界に送り出すとしている。これはまさしく、経営学部が目的とする「グローバル経営人材」の育成と符合している。経営学部は2015年度からの学部一括入試を契機に、学部改革を進め、「経営問題を多面的に考察し解決できる有為な経営人材を養成する実学としての経営学教育」を新たな教育理念とし、「グローバルレベルでビジネスを創造・推進する経営人材の育成」を教育目標として掲げることにした。

改革の大きな柱は、「GREAT」と呼ばれる、専門教育と英語教育のミックス型カリキュラムである。海外の大学で専門科目の授業を受講するに耐え得る英語力と専門力を同時に養成するために、大学院における英語の専門科目の履修を可能とするなど、意欲のある学生を徹底的に鍛える内容となっている。こうした改革は、学部独自の国際留学プログラムや国際ボランティアプログラム、大学院との連携強化やアクティブラーニング・アクティブタームの活用によって生かされ、本学の「総合的教育改革」の動きとも連動したものとなっている。

しかし、これだけでは、日本経済の焦眉の課題である「事業創造力の欠如」を解決できるであろうか。私は、多くの経営者たちと話をする機会があるが、彼らは口をそろえて、事業を創造し実現する人材、人間力のある人材の必要性を説く。社内ベンチャーをつくる、あるいは、自ら会社を起こし育てる人材が求められている。こうした人材を提供するためには、英語による専門科目やアクティブラーニング系の科目を増やすだけではなく、事業創造力を養成するための独創的な科目の設置と教育課程の提供が不可欠である。

本学が標榜する、主体的に学び、考え、行動する人材とは、進取の精神に富んだ人材に他ならない。事業創造なくして国家の繁栄なし。本学は、卒業生の9割以上が一般企業に就職するが、事業創造型の人材を育成するに耐えうる十分なカリキュラムを提供できる学部学科は、残念ながら、本学のみならず全国どの大学をみても存在しない。グローバル人材育成の次の一手として、本学が挑戦しなければならない問題は、この「事業創造型人材の育成」であり、10年後を見据え、まさしくこの時期に布石を打つべきと考える。
(経営学部教授)