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研究企画推進本部の活動と今後の検討項目

研究企画推進本部長 土屋 一雄
研究企画推進本部会議の役割は、研究活性化に向けた企画・立案、研究の支援・推進について審議することである。研究に関係する事項、例えば、3研究所(社会科学研究所、人文科学研究所、科学技術研究所)の運営、文部科学省「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン」対応のコンプライアンス教育および研究倫理教育プログラム導入検討なども守備範囲に入る。

本部会議がかかわる支援事業として、研究クラスター、国際共同研究、新領域創成・若手研究、グローバルフロント(GF)共同研究室利用、文部科学省・私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(大型研究)の学内選考、ヒトを対象とした研究倫理審査等がある。

これら支援事業において、募集や選考方法の透明性・公平性の確保は重要である。申請者からの声も委員の間で共有しながら、必要に応じてルールの見直しあるいはルール作りを行ってきた。研究クラスターについては公募形式とし、特定課題研究ユニットから研究クラスターへの道筋を示した。国際共同研究は、本学の実状に合わせて大きなグループで行うⅠ型と数名で行うⅡ型の2本立てとした。GF共同研究室の活用法については、生田、和泉、中野、駿河台キャンパスで研究室見学を実施したうえで、文系・理系の研究推進方法や研究予算規模の違いなどを考慮しながら選考ルールや手順を定めてきた。ヒトを対象とした研究等に関する研究倫理委員会は、要請により急遽、立ち上げたものである。

一方、支援事業に採択されたプロジェクトが、当初の計画に沿って実施されているのか、目標の達成度はどうか、支援効果はあったのか、本学の研究力の向上に役立ったのか等、検証することも重要である。実施計画のロードマップに対し、年次報告での達成度自己評価表を1セットとし、自己点検・評価しやすい形に関連書類のフォーマットを整えた。予算規模の大きな大型研究に対しては、PDCAサイクルなど自己点検・評価の仕組みを構築して研究を推進することを学内申請の条件に盛り込んだ。また、実施グループからの年度ごとの報告内容を委員で点検、その結果を実施グループにフィードバックすることにより、もう一つの大きなPDCAサイクルが回る体制とした。

今後の検討項目として、紀要等の論文二重投稿防止策、研究推進員・支援者制度、特別研究員制度がある。実状に不適合な場面や運用に差が生じている部分が見受けられるからである。外部研究資金を獲得した研究者の報奨制度、インセンティブ付与も検討が必要である。インセンティブ付与の現行ルールは年間獲得額のハードルが高く、該当者は10名に満たない。努力していれば多くの教員の手に届くレベルのルールがあって良い。学内制度を有効活用した、例えば研究推進およびその取りまとめ時間の確保を目的とした研究推進特別研究員(仮称)のような制度はできないものか、関係各位の協力をいただきながら検討していきたい。

(理工学部教授)