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リバティアカデミー中野でオープン講座「シャネル、ディオール、そしてサンローラン」

ブランドの“ラグジュアリー”な世界に触れた

「シャネル、ディオール、そしてサンローラン~ブランドの創始者とブランドの現在~」と題するリバティアカデミーのオープン講座(後援:中野区)が6月17日、中野キャンパス・5階ホールで開催され、ファッション文化史が専門の中野香織国際日本学部特任教授の講義に、当初の募集人員である400人を超える幅広い層の受講生が熱心に耳を傾けた。

中野特任教授は講義の中で、各ブランドのイメージカラー(シャネル=黒、ディオール=ピンク、サンローラン=オレンジ)が施された印象的なスライドを駆使しながら、20世紀のファッションに多大な影響を及ぼした3人のデザイナーの生涯と功績を、時代の流れとともにそれぞれ解説。

シャネルの創始者ココ・シャネルの関連書籍が現在に至るまで出版が途絶えず、世界で合計100冊以上も出版されている理由は「彼女のどこを切り取ってもドラマティックな人生にある」と語った。さらに、伝説的香水「シャネルN°5」や、機能性を追求し女性の社会進出の後押しともなった「リトルブラックドレス」など、時代の価値を転換するスタイルを誕生させた背景を説明した。

一方、クリスチャン・ディオールは、「これを着られれば美しく見える」という、着心地よりもシルエットを重視したスタイルで、「男性デザイナー目線であり、シャネルとは対照的」と解説し、受講生の興味をかきたてた。また「現在はSNSの影響力を利用するため、資金力を生かした大規模なショーを積極的に開催している点が目を見張る」と語った。

そのクリスチャン・ディオールに若くして認められたイブ・サンローランの功績は「当時、ファッション誌VOGUE(ヴォーグ)の表紙でも起用されることがなかった有色人種モデルを初めて使ったことだ」とした上で、それは政治的配慮からではなく「美しいから使うのだ」とした同氏の主張にも触れた。

中野特任教授は「いずれの創始者も、スペックを重ねてより良いものを生み出す“プレミアム”ではなく、何者とも競わない“ラグジュアリー”な生き方をした。時代の価値観を吸い取りながら変化を与えた前例のない3人に、インスピレーションを感じていただければ」と講義を締めくくり、ブランドへの憧れの正体に触れる講義は、盛況のうちに終了した。