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リバティアカデミー「“たくましく”生きるための呼吸とは?~呼吸法と日本文化~」

受講生全員で「呼吸筋ストレッチ体操」を体験 本間氏(右)と青井教授が幅広いテーマで対談した

リバティアカデミーは6月13日、「“たくましく”生きるための呼吸とは?~呼吸法と日本文化~」と題する㈱明大サポート寄付講座を駿河台キャンパス・リバティホールで開催。会場を埋めた受講生約400人が、講義と「呼吸筋ストレッチ体操」の体験を通じて、呼吸が身体に及ぼす影響について学んだ。

講師を務めた本間生夫氏(昭和大学名誉教授・東京有明医療大学副学長)は呼吸生理学の専門家。講義の冒頭で呼吸の仕組みを紹介し、人間が無意識に行っている呼吸は、脳の中で喜怒哀楽の感情をつくり出す箇所にコントロールされていると解説した。

本間氏が「感情と呼吸は一体になっている」と表現したように、不安や緊張などの感情を抱くと浅く早い呼吸になり、リラックスすると深くゆっくりした呼吸になる。この仕組みを応用した「呼吸筋ストレッチ体操」は、簡単な体操で呼吸を整えることによって感情が変わるというもの。本間氏は東日本大震災の被災地でこの体操を実践してきた結果、参加者が抱えていた不安が軽減されたというデータを紹介した。

続けて、被災地をはじめさまざまな場所で「呼吸筋ストレッチ体操」の指導を行う婀起侖沙包(あきり・さほ)氏が登壇し、5種類の体操を指導。受講生が音楽に合わせてその場で体操を行い、呼吸と感情の変化を体験した。

第二部では、本間氏と青井倫一教授(グローバル・ビジネス研究科)が対談。呼吸と感情のつながりを日本文化の側面からあらわした新作能「オンディーヌ」を本間氏が手掛けた経緯について青井教授が触れ、さらにビジネスにおける欲望と脳の関係や、カラオケなどの身近な「呼吸」動作が感情に与える影響にまで話題が及んだ。

本間氏は「現代人は、浅い呼吸が多い。楽しく歌うことで気道を広げて空気を通すことになり、感情の中枢にも良い効果がある」とカラオケの効能を解説。対談の終盤には、科学者である本間氏から「科学の進歩で便利にはなったが、必ずしも人間が幸せになったとは言えない」という興味深い言葉が聞かれ、受講生は対談に引き込まれていた。