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明大・京大iPS細胞研究所がシンポジウムを共催

「iPS細胞と医農工連携:あたらしい医療を考える」

会場から多くの質問が寄せられたトークセッション 山中伸弥教授 長嶋比呂志教授 桝太一アナウンサー

明治大学と京都大学iPS細胞研究所(CiRA)は7月26日、「iPS細胞と医農工連携:あたらしい医療を考える」と題する共催シンポジウムを駿河台キャンパス・アカデミーホールで開催。医学研究用の遺伝子改変ブタの開発で世界をリードする長嶋比呂志農学部教授(明治大学バイオリソース研究国際インスティテュート=MUIIBR所長)や、ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授(CiRA所長)らが、医・農・工学それぞれの観点から、未来の医療を語った。

シンポジウムの司会進行を務めたのは、日本テレビアナウンサーの桝太一氏(東京大学大学院農学生命科学研究科修了)。

シンポ前半では、長屋昌樹研究・知財戦略機構特任教授(MUIIBR臓器再生・臓器移植分野)、相澤守理工学部教授(MUIIBR整形外科分野)、長嶋教授の明大側3人が、移植医療や再生医療、動物モデルによる難病研究などについて講演した。

さらに、山中教授、山下潤教授(CiRA増殖分化機構研究部門)の京大側2人が、iPS細胞(人工多能性幹細胞)※がもたらす新たな医学の可能性や、心臓・血管の再生などをテーマに講演を行った。

続けて行われたトークセッションでは、桝氏の進行のもと、5人の登壇者がホールを埋めた来場者からの質問に回答。

会場からは「医療の進化と寿命との関係」「寿命に対する考え方」「研究活動を支えてきた座右の銘」など、さまざまな質問が寄せられ、登壇者たちは、わかりやすい言葉で1つずつ丁寧に答えていた。

最後に、登壇者を代表して山中教授があいさつに立ち、「新しい技術ができる際にはいろいろな新しい問題が伴い、『100%良い』と言える技術はないと思う。今日のような機会に研究者と皆さまが接触して、一方通行ではなく相互に理解していくことが重要」と述べると、会場からは盛大な拍手が送られた。

iPS細胞(人工多能性幹細胞)

山中教授の研究チームが、人間の体細胞に少数の因子を導入することにより人工的に開発した幹細胞。無限に増殖する能力と体のすべての細胞を作り出す能力を有していることから、「万能細胞」と呼ばれることもある。再生医療や創薬への応用が期待されている。