Go Forward

高校生のための先端数理科学見学会を開催

変身立体の設計法を説明する杉原特任教授

明治大学先端数理科学インスティテュート(MIMS)、大学院先端数理科学研究科現象数理学専攻、総合数理学部現象数理学科は8月3日、東京都高等学校数学教育研究会との共催による「高校生のための先端数理科学見学会~現象数理学への誘い~」を中野キャンパスで開催した。

「数学って何の役に立つの?」という高校生の疑問に答えるべく、数学と身近な生活とのかかわりや、数学を応用した面白い取り組み・実験などについて、大学教員が最先端の研究事例を基に解説するもの。3回目の開催となる今年は、高校生42人と高校教員22人が参加した。

プログラムは、現役大学院生によるショートトークと教員による発表で構成。

現象数理学専攻の大学院生によるショートトークは「リスクと戦うアクチュアリー」(博士前期課程2年、稲葉大智さん)、「なぜ日本留学を選択したのか」(博士後期課程3年、コンテント・ロレンゾさん)、「折紙の幾何とその応用」(博士後期課程3年、中山江利さん)の3つをテーマに行われ、参加者は真剣な表情で耳を傾けた。

教員の発表は「鏡に映すと形が変わる~変身立体の数理~」(杉原厚吉研究・知財戦略機構特任教授)、「這う!?カタツムリ~数学で解き明かす生物の動き~」(岩本真裕子総合数理学部特任講師)、「統計学と確率論—現象をとらえる2つの道具の関係を『体感』する」(中村和幸総合数理学部准教授)の3つがテーマ。

杉原特任教授は、鏡に映すと形がまったく違って見える不思議な立体“変身立体”について、網膜像には奥行き情報がないという数理的性質と、人間の脳は直角を優先するという心理学的性質を組み合わせて作ったものであると解説。第11回ベスト錯覚コンテスト(2015年)で第2位を受賞した「変身するガレージ屋根」など多数の作品を紹介したほか、変身立体の設計法にも触れた。

参加者からは「実際に変身立体を作る場合、特定の位置から見ることや両目で見るかといった条件によって、錯視の効果が変わってくるか」という質問が出るなど、テーマへの関心の高さがうかがわれた。