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福島県新地町で今年も「明大Week in 新地」

福島県新地町と「震災復興に関する協定」を締結している明治大学は、2013年から行っている「明大Week in 新地」を、今年も8月1日から7日まで実施した。東日本大震災から4年以上の時間が経ち、福島県新地町では住宅の高台移転や常磐自動車道の再開など復興が目に見える形で進んできた。これらを受け、復興への直接的な支援から徐々にその活動内容も多様化しつつある。

1日に開催された、震災復興へ向けた町の夏祭り「第5回やるしかねぇべ祭」の前日準備に始まり、今回の支援活動は祭の運営支援、小学校での学習支援、図書館支援、水泳指導サポート活動など多岐にわたり、参加学生も1日あたり最大で50名、1週間の延べ参加学生は280名を超えた。また、ゼミ単位や部活動の学生に加え、教職員も多数参加した。各活動に携わった明大関係者の寄稿を以下に掲載する。

チアリーディング&チア体験教室

舞台上でのパフォーマンス

一昨年度から応援団バトン・チアリーディング部OG職員が、やるしかねぇべ祭の舞台に参加している。今年度は明治大学OGを中心に、東京六大学応援団チアリーダー出身の有志で構成されたチアリーディングチームTOPPERS8名が、ライブステージで演技を披露した。六大学野球の応援などに使われているチャンスパターンメドレーや、スタンツ・ダンスを盛り込んだ迫力ある演技で、約30分間にわたり参加者を魅了した。当初は少し距離を置いて見ていた観客も次第にステージ付近に集まり、大きな手拍子とエールが飛び交った。また特設テント前では、子どもたちを対象にしたけん玉教室(経営学部事務室・松永 基希)と共にチア体験教室を開いた。最初は子どもたちも尻込みや緊張をしていたが、最後にはたくさんの笑顔を見ることができた。

松本 ありさ(和泉教務事務室)

震災復興・活性支援ボランティア講座

「漢字を学ぶ」授業の様子

2011年度に学部間共通総合講座の授業の一つとして企画された震災復興支援ボランティア講座は今年度から「東日本大震災復興・活性支援ボランティア講座」と名称を変更し、24名の学生が参加した。特に今年は理工学部を中心に生田キャンパス所属学生が多く参加した。講座名称の変更に伴い、小学校においては従来の学習支援活動に加え、天体観測教室のほか、明大生が「企画」した特別授業(延べ6授業)を新たに町内の3つの小学校で展開した。氷を使った「アイスを作る」理科教室のほか、毛筆を使った「漢字を学ぶ」、建築物を用いての「世界を学ぶ」など、それぞれの学生が所属学部の専門性を生かし、工夫を凝らした授業を展開した。このほか食事やスポーツを通じて、児童や新地町の人たちとの交流を深める試みも行われた。

鳥居 高(商学部教授)

中学校校庭で「天体観測教室」

お星さま、見えるかな?

8月5日夜、新地町立尚英中学校校庭で天体観測教室を開催した。当日は教育委員会や同中学校の協力のもと、小学生とその保護者ら約20人が参加した。最初は、手作りの星座早見盤を配布して自由に空を眺めてもらい、暗くなってからは夏の大三角とその周辺の解説を行った。6日からは「仙台七夕まつり」も行われることから、七夕の話もした。星の話を始めると、子供たちは目を輝かせながら空を見上げていた。さらに、中学校から借りた望遠鏡で順番に土星を観測。望遠鏡で見る土星は図鑑と同じように輪まで見ることができ、子供たちはもちろん保護者も驚きの声をあげていた。次に北の空を見て、北斗七星から北極星を探す方法を実践。最後に、ロケット打ち上げやペルセウス座流星群などについて話し、教室は終了した。初回ということで段取りが悪い部分も多くあったが、子供たちに喜んでもらえたので、今後さらに良い企画を考えていきたい。

森谷 諒(農1)川上 真帆、上田 真結(理工2)

司書課程履修学生の活動

明大生オススメの本を紹介

昨年度から新地町図書館において司書課程履修学生が図書の新規登録、蔵書の整理など図書館の実務を経験している。今年度も参加学生24名が2班に分かれ、8月4日から7日まで各班2日間活動した。学生は司書課程の授業で学んだことや知識を「実務」として実践する、という形で支援活動を行った。今年度は新たに「明治大学生がおすすめのこの一冊」という推薦図書展示を実施。対象学年を明確にして、推薦理由やメッセージを添え、図書館内に展示した。活動の中で、館長や館員の方から被災当日の様子や、その後の復興の過程などを学ぶ重要な機会となった。

鳥居 高(商学部教授)

文学部・平山ゼミの活動

ビーチクリーンを終えて

文学部・平山ゼミの学生14人は、祭の前日の午後に会場設営を行い、当日は朝9時から作業を開始。祭の間は、会場のゴミ分別回収所を高校生と共に担当したり、商工会青年部の屋台に立ったり、祭のチラシを配ったりの作業をこなし、猛暑の中、夜まで奮闘した。翌日も朝7時から昼ごろまでテキパキと祭の片付けを行った。

新地町に度々通って、地元の方から懇意にしていただいている本学学生とともに、仮設住宅の住民・元住民の方々が開いたBBQパーティーに平山ゼミも招いていただいた。集会所での大パーティーで、火力発電所社員、漁師、議員などの方たちと意義深い話ができた。

翌朝は漁師の方のご厚意で漁船でのクルージング。その後ビーチクリーンを行い、午後は原発避難者の多い仮設住宅でゼミ主催の交流会を開いた。ゼミ生も誠意を尽くして活動したが、新地の方たちの温かい歓待に一同深く感動している。

平山 満紀(文学部准教授)

体育会ローバースカウト部活動報告

デイキャンプでのスイカ割り

昨年に引き続き、体育会ローバースカウト部は7月31日から8月3日にかけて新地町を訪れ、「やるしかねぇべ祭」の手伝いとデイキャンプを開催。祭では「BMXパーク」「ちびっこプール」および「エコステーション」の3カ所で活動した。参加した部員はみな真っ黒に日焼けし、疲れた表情を見せながらも達成感を得た様子だった。

デイキャンプは、町役場や教育委員会など、多くの方々の協力を得て、8月2日に無事開催することができた。定員の2倍以上の応募があり、36名の小学生が参加した。

学校や学年の違う子供同士でもすぐに仲良くなり、ウォークラリーやカレー作り、ペットボトルロケット作りなどを楽しんだ。用意したプログラムが多かったというのは反省点の一つだが、子供たちが屋外で元気に走り回り、部員と積極的に遊んでいる姿を見ることができた。

石丸 真梨子(文3)


水球サークル・ウォーターポロ「水泳教室」

子供に大人気の学生たち

水球サークル、ウォーターポロは8月5、6日に水泳教室を行った。3年目になるこの水泳教室も年々参加者が増えており、学生に対する期待も高まっているようである。今回は水に慣れるところから本格的に速さを意識したレベルまでクラス分けをし、児童一人ひとりに丁寧に指導するよう努めた。ボール遊びを取り入れたり、学生とリレーで勝負をしたりすることで、学生・児童が一緒になって楽しみながら学ぶことができた。

その甲斐あってか、はじめは水に顔をつけるのが精一杯だった児童も「見て、見て!」と自信を持って泳ぎを披露するまでになった。

2日間天候にも恵まれ、日焼けで真っ黒になって帰っていく児童たちはとても満足そうだった。学生もまたこの活動を通して、とても充実した貴重な時間を過ごすことができた。来年また、さらに泳げるようになっているであろう児童らに会えるのを、とても楽しみにしている。

三浦 なつみ(政経3)