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ズームアップ 第546回「手にしたエースの器」

ハンドボール部 吉野 樹



明治のエースは大学ハンドボール界のエース。そう言わんばかりの活躍を見せているのが、明治大学ハンドボール部のエース吉野樹(政経3=市川)。上級生になって芽生えたエースの自覚で、チームを引っ張っている。

1年次から試合に出続けているが、一昨年は得点王4度の池辺大貴(2014年政経卒)、昨年は主将でこちらも得点王経験者の堤由貴(2015年経営卒)など、大学トップの選手に囲まれ、昨年までは抜けた選手ではなかった。「吉野はもっと自分を出さないと駄目」。どこか遠慮がちにプレーする吉野に対し、期待の裏返しから厳しい声も飛んでいた。

転機となったのは今年7月に行われた世界ジュニア選手権。世界の強豪を相手に7試合で17得点を挙げると「今までは先輩に頼ってばかりだったけど、自信がついた」と、精神的に大きく成長。8月から始まったリーグ戦では、細かいフェイントやパスの質といった技術的な成長を感じさせたが、何より見違えたのは気持ちの強さ。「得意なロングシュートも通用した」と、世界で得た自信からか、開幕戦からゴールを量産し、92得点で得点王を獲得。これまでにはなかった常にゴールを見据えたプレーで輝きを放った。「樹は完全にエース。ジュニアの大会にいってから一回り大きくなったし、自信がついている」と、普段は褒めることのない松本勇監督も認める存在へと成長を遂げた。

(よしの・たつき 政経3 市川 181cm・77kg)

文・写真/松井 嚴一郎(法3)