Go Forward

図書館が直面している課題

図書館長 林 義勝

現在の明治大学図書館が直面している課題と今後の方向性について、皆さまのご理解とご支援をお願いしたいと考えております。

和泉キャンパスに2012年4月に開館した新図書館が、今年11月4日に300万人目の記念すべき入館者を迎えました。解決すべき問題点は残っておりますが、和泉図書館には多い時に一日7000人もの入館者があり、本学にとっては記録的な数字であります。

最近では図書館が大学という教育機関のなかで、どのような役割を果たしていくかが大きな課題であります。「図書館活用法」という全学部の学生を対象にした総合講座が4キャンパスで開講されています。大学での学修・研究活動を行っていく基礎的なアカデミック・スキルを学生たちに教えることを目的としたものです。和泉キャンパスは文系学部の1、2年生が学ぶ場なので、この講座はコンスタントに一定の受講者がおり、学生たちからの評価も高いといえます。

しかし、理系学部が設置されている生田キャンパスでは、初年次から実験室での学修、研究が中心となるため、和泉とは違った内容の「図書館活用法」を考える必要が指摘されています。文系の3、4年生が学ぶ駿河台キャンパスでは、中央図書館が果たす役割は他とは異なってくると思われます。中野キャンパスの場合は、それ以前の問題として、収容学生数に対する図書館の座席数の割合が低く、スペースが狭すぎるという課題に早急に対処する必要があります。

また、和泉図書館には図書館内で図書館の資料を使って授業を展開する、中央教育審議会が言う「能動的学修」を実践する場が設けられています。さらに、ここでは学生たちが自主的に議論をし、ゼミの予・復習などを主体的に行います。十分とは言えないまでも、積極的に学生たちの主体的な学びの場を提供することは、今後の図書館の一つの方向性を示しているのではないでしょうか。生田と中野キャンパスで新しい図書館を構想する際には、個々の特徴を生かした「能動的学修」のスペースが求められるではないでしょうか。

一方、研究者の側から見た場合の図書館の役割として、研究活動をスムーズに行うための資・史料の提供が最重要であります。最近、理系では電子ジャーナルが研究論文の主流を占めています。自分が必要とする時に資料を入手できるという点では、これほど便利なことはありません。しかし、その電子ジャーナルの価格が高騰してきています。これに何とか対処して、過度な負担なく先生方の手元に必要な論文を提供することも図書館としての現時点での大きな仕事であります。

このような課題に対処しながら、図書館として大学の研究・教育活動の活性化に貢献することが求められていると思います。そのためには、学生諸君や教職員一人一人の声に耳を傾けることがこれまで以上に大切になります。今後とも、建設的なご意見、ご提案をいただければ幸いです。

(文学部教授)