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理工学研究科 新領域創造専攻 被災地の『再野生化(Rewilding)』を考えるシンポ

各界で活躍する登壇者が『再野生化』をテーマに意見交換

東日本大震災の発生から丸5年を迎えた3月11日、大学院理工学研究科新領域創造専攻が、被災地の『再野生化(Rewilding=リワイルディング)』について考えるシンポジウム「希望としてのRewilding」を中野キャンパス低層棟5階ホールで開催した。

まず初めに、写真家の赤阪友昭氏によるスライドショー「福島とオランダ、二つの海辺」、映画監督の古木洋平氏による短編映画「水の記憶、土の記憶~南相馬から」、オランダのドキュメンタリー映画「The New Wilderness」(部分上映)を続けて上映。
津波によって海辺に新たな自然風景が生まれ、開発で姿を消した動植物が再び戻ってきている福島第一原子力発電所周辺の立ち入り制限区域と、耕作放棄によっ て再野生化が成功しつつあるオランダの自然保護区・オーストヴァーデルスプラッセンの共通点を、写真と映像で浮き彫りにした。

その後、管啓次郎理工学部教授の司会により、シンポジウム「希望としてのRewilding」が行われ、赤阪氏、古木氏のほか、信太美奈氏(音楽家)、小 沼純一氏(批評家/早稲田大学)、松田法子氏(建築史・都市史/京都府立大学)が登壇。被災地復興の一つの手段としての『再野生化』の可能性や具体的な方 法について、多様な視点から検討を行った。

「被災地の撮影をしながら自然の力を感じている。オランダの自然保護区のように、立ち入り制限区域の土地を後の世代の宝になるように残していくことも可能 だと思う」(赤阪氏)、「水害が起きる土地は扇状地が多く、自然が新たに生まれる土地でもある。土地の再野生化に希望を感じる」(松田氏)など、さまざま な意見が交わされ、自然と人間の関係性についても、改めて考えさせられるシンポジウムとなった。