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杉原MIMS特任教授が「錯覚美術館」を総括

役割を終え、昨年末に閉館した錯覚美術館 錯覚美術館の運営を振り返る杉原特任教授

明治大学先端数理科学インスティテュート(MIMS)錯覚と数理の融合研究プロジェクトと、科学技術振興機構CREST事業「数学」領域「計算錯覚学の構築」は3月7日・8日の2日間、「錯覚科学への心理学的アプローチと現象数理学的アプローチ」と題するワークショップを中野キャンパスで開催。8日には、MIMSの杉原厚吉特任教授が「錯覚美術館運営体験記 ~うまくいった幸運はどこから来たのか~」をテーマにした発表を行った。

錯覚美術館は、「計算錯覚学の構築」プロジェクトの研究成果を一般公開する拠点として2011年5月14日、駿河台キャンパスに程近い東京都千代田区神田淡路町にオープン。2015年度でプロジェクトが終了するのに伴い、昨年12月26日に閉館した。毎週土曜のみの開館ながら、だまし絵を立体化した“不可能立体”や、静止画が動いて見える“錯視アート”など独自性豊かな展示が話題となり、約4年半で記帳者数は2万2179人(1日平均94人)にのぼった。

杉原教授は発表の中で、錯覚美術館がオープン当初から多くのメディアに取り上げられ、『抵抗しても無駄です。あなたの視覚は計算済み。』というキャッチコピーも好評だったことや、入場無料であってもお金を払って惜しくないものを目指し、説明員を配置したり錯視立体のお土産を用意したりするなど運営上の工夫を行ったことを紹介。

「当初は一方通行の情報発信を想定していたが、新たな研究テーマ発掘などの機会を得る場としても利用できた。来館しやすい場所だったことなど、多くの幸運も重なった。ご協力いただいたすべての方に心から感謝したい」などと総括した。

2日間にわたるワークショップでは、計9人の研究者が発表を行ったほか、鏡に映すとまったく別の形に見える“変身立体”など、錯覚作品の展示も行われた。