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坂東玉三郎講演会「演じるということ2016」土屋学長と対談、「鼓童」の演奏も



大いに盛り上がった土屋学長(上)と玉三郎さんの対談

明治大学リバティアカデミーは7月25日、歌舞伎俳優で重要無形文化財保持者(人間国宝)の坂東玉三郎さんを迎え、公開講座「坂東玉三郎講演会—演じるということ2016—」を駿河台キャンパス・アカデミーホールで開催。学生をはじめ玉三郎ファンら約1000人で会場は埋め尽くされた。

今年で5回目となる講演会の第一部では、能をはじめ日本の古典芸能に造詣が深い土屋恵一郎学長と玉三郎さんが対談。玉三郎さんの舞台を50年以上観てきたという土屋学長は、「玉三郎さんを語る上で“美しさ”は最たる要素」と、歌舞伎界を代表する女形である同氏の魅力に迫った。玉三郎さんは、「美の基準はあいまいなもの。美しくあらねばということだけに終始したことはない」としながらも、幼いころの生い立ちから、歌舞伎の世界で女形を演じるまでの経緯などについて紹介。ほかにも、中国・北京での公演エピソードや古今東西の美意識、『桜姫東文章』や『京鹿子娘道成寺』といった舞台の裏話などを披露しながら“美しさ”について語り合った。

普段の舞台では見ることができない玉三郎さんの所作や、言葉遣いの美しさを目の当たりにした土屋学長は、「三島由紀夫はかつて『坂東玉三郎は“現代の奇跡である”』と評したが、奇跡は続いている。これからも新しいことに挑戦して、我々を楽しませていただきたい」と絶賛。これに対し、玉三郎さんは「何もできないと思っていた人間が好きで続けてきたことが、これだけ大勢の方に喜んでもらうことになるとは思わなかった」とし、舞台に立ち続けることへの葛藤に触れながらも、「自身を客観的に見つめながら、命を懸けて演じていきたい」と締めくくり、対談は幕を閉じた。

第二部では、自身が芸術監督を務める太鼓芸能集団「鼓童」が登場し、玉三郎さんとの語りとともにオリジナル曲を演奏。和太鼓の力強さと繊細さとが織り成す迫力の舞台パフォーマンスに、会場は大いに盛り上がった。

太鼓芸能集団「鼓童」



太鼓を中心とした伝統的な音楽芸能に無限の可能性を見いだし、現代への再創造を試みる集団。1981年、ベルリン芸術祭でデビュー。本拠地を佐渡島としながら、これまでに47カ国で5600回を超える公演を行っている。2012年、芸術監督として歌舞伎俳優・坂東玉三郎氏を招聘した。