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不思議な粒子の謎に迫る「ニュートリノ物語」を開催

会場からの熱心な質問に答える小川氏

リバティアカデミーと地域産学連携研究センターは10月1日、オープン講座「ニュートリノ物語」を生田キャンパス・地域産学連携研究センターで開催した。物理学者、小柴昌俊氏が2002年に、梶田隆章氏が2015年にノーベル物理学賞を受賞したことで話題となった「ニュートリノ」が、どのように発見され、研究がされてきたのか。今も研究が進む物理学の世界を約70人が体験した。

講師を務めた小川建吾氏(理化学研究所客員主管研究員)は、原子核の「ベータ崩壊」と呼ばれる現象の際に、エネルギーの一部が消えてしまう謎について、20世紀前半の物理学者が挑んだ仮説と検証の歴史を紹介。この謎を解明するために物理学者パウリが提案した「未知なる粒子」が「ニュートリノ」と名づけられ、それから20年以上の時間が経過してニュートリノの存在が確認されたことを解説した。

続けて、物理学者を大いに悩ませた「太陽ニュートリノ問題」について話題を展開。1970年代にアメリカで太陽から届くニュートリノが観測されたものの、予測された数の3分の1程度しか検出できなかった問題に関し、梶田隆章氏が1998年、ニュートリノが別の種類に変身し、質量を持つことを発見。このノーベル物理学賞受賞に至った発見を、ニュートリノ研究の歴史を振り返りながらわかりやすく解説した。

最後に小川氏は「物質を通過する特殊な性質を持ったニュートリノを、私たちは昼も夜も浴びている。かつては誰も気づかなかった粒子が身の周りに存在していることを認識して、身近に感じてほしい」と述べ、講義を締めくくった。

宇宙の謎に迫る物理学の世界を体験した受講生からは、講義の終了後もたくさんの質問が寄せられていた。