Go Forward

人文科学研究所が公開文化講座「伝える、伝わる」を中野で開催

日々、スポーツの魅力を“伝える”石井アナウンサー

人文科学研究所(所長=守屋宏則経営学部教授)は10月15日、公開文化講座「伝える、伝わる—言葉の中の思いを届ける—」を中野キャンパス5階ホールで開催した。第41回目となる今回は、TBSアナウンサーで朝の情報番組「あさチャン!」ほか多数スポーツ番組を担当する石井大裕氏を講師に迎え、田中伸明文学部教授が司会進行役を務めた。

石井氏は、6歳からテニスを始め、早くからその才能が開花。元プロテニスプレーヤーの松岡修造氏に師事するなど、世界で活躍できる選手と将来を嘱望されていたが、度重なる故障に苦しみ引退。その後は、大学在学中にアメリカや中南米の野球取材を経験するなど、現在ではアスリートの視点で伝えるキャスターとして活躍している。

講演の第一部では「伝える、伝わる」をテーマに、ラジオ、テレビ、インターネットと時代とともに移り変わる放送と、その取り巻く社会に焦点を当てながら、情報を正しく伝えることの難しさや、現場での矛盾などについて解説。さまざまな課題を抱える2020年の東京五輪を例にあげ、「開催都市の決定直後は皆が期待に胸を膨らませていたが、現在はどうか。メディアの伝え方次第で、国民の気持ちを変えることができる」と、情報を伝える側であるメディアの役割について分析した。また、「自分の役割はリアルを伝えること。自分に伝わらないと、伝えることはできない」と、綿密な取材や情報収集など膨大な準備があること、取材時には傾聴力や決断力が求められることなど、アナウンサーとしての真髄を多数披露した。

続いて行われた第二部は「言葉とスポーツ」と題し、リオ五輪の現地取材をはじめ、多数の一流アスリートと対面した中で同氏の心に刺さったメッセージについて、当時のエピソードを交えて紹介。アスリートの思いやそれを支える家族の存在など、縦横無尽に話題を展開した。最後の質疑応答で、「石井アナウンサーにとって言葉とは」と参加者から尋ねられると、「自分の思い、魂が乗り移っているもの、“言霊(ことだま)”です」と締めくくり、講演会は幕を閉じた。