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ズームアップ第558回「心でも負けないパイロットへ」

航空部 池谷 敬





大空への挑戦が始まった。大学入学を機に池谷敬(営3=千葉)は航空の世界に入った。航空といってもエンジンは搭載していない。動力を用いず、上昇気流に乗って飛ぶグライダーで、決められたポイントを回る競技だ。9月に行われた六大学競技会で池谷は公式戦デビュー。すべてのポイントを回り周回を果たした。

試合に出るまでも苦難の連続だ。大学スポーツである航空は、ほぼ全員が一からスタートする。明大は専用の滑空場を保有しているため、思う存分練習に励める。しかしこの滑空場は狭く、一人で飛ぶまでの基準が厳しい。「待ちくたびれ疲れた」。他大の選手がソロに出ている中、一人で飛んだのは2年生の12月26日。初のソロは緊張もせず「楽しかった」フライトだった。その後も毎週土日に日没までひたすら練習。今年の8月9日に悲願のライセンスを獲得した。

初出場した大会が池谷に残したのは悔しさだった。「このままのレベルじゃいろいろダメだ」。ライセンスを取ってから1カ月で挑んだ初の公式戦。技術や経験の差はもちろん、考え方の甘さも思い知らされた。最後の最後まであきらめない気持ち。強い上昇気流を見つけることが一番だが、相手は日々変化する空気。見えない存在にも、強い選手は粘り強さを見せて得点につなげていた。

「あとは上を目指すだけ」。他大選手からの収穫も多かった初めての大会。高い技術と強い心を兼ね備えたパイロットを目指して、これからも経験を積んでいく。

(いけたに・たかし 営3 千葉高 168cm 65kg)

文・写真/浜崎 結衣(情コミ1) 写真/木村 亮(法2)