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本棚「エレメンタル現代経済学」金子 邦彦 編著(晃洋書房2,200円+税)



相次いで襲ったグローバル金融危機とグレイト・リセッション(大後退)の発生、その対応・脱却策として実施されてきた一連の非伝統的な金融緩和政策との複雑な相互作用により、読者にとって現在の経済状況を的確に把握することは、たいそう難しくなっているものと推察される。こうした状況下にあっては、枝葉末節を思い切って捨て、このような錯綜したグローバル経済・金融の大枠を理解し、根幹を捉えるための手頃な入門書が必要である。そうした折、金子邦彦教授が編著者となり刊行された本書は、まことに時宜にかなった出版であるといえよう。本書は経済学の手ほどきとして学ぶ意義から、今はやりの行動経済学に至るまで8つの章からなり、各章はその分野における優れた研究者により要点が判りやすく説かれている。読書の秋たけなわの折、仕事で疲れた頭のリフレッシュを兼ねてご一読されるようお薦めしたい一冊である。

渡辺良夫・商学部教授(編著者は情報コミュニケーション学部教授)