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11月24日、東京では、11月としては54年ぶりに初雪が観測され、交通機関も大混乱する事態となったが、今年もリバティタワー3階と研究棟に挟まれた中庭にあるイチョウが黄色に色づき、銀杏の絨毯の上、プラチナの空の季節がやってきた。かつての記念館の隣、短期大学の裏の庭のイチョウである。

このイチョウにはだいぶお世話になった。『明治大学百年史』を編むときにアルバイトとして動員され、史料をかき集め、封筒に入れ、ノンブルを打つ作業中、史料入りの段ボールを並べたのも確かこの木の下であった。道に銀杏の絨毯ができるちょうど今ごろの時期であった。

数日ほったらかしたあと、その段ボールを引き上げにいったところ、なんと中に猫の赤ちゃんがいた。記念館裏に時々立ち寄っていた母親猫が暖かい段ボールを選んで生んだのである。

明治大学が数寄屋橋近辺で誕生したころの絵図のなかには、門に何匹かの猫が群がっている一葉がある。はかま姿の学生たちも猫を抱いている。100年経って、その絵図を入れておいた段ボールから猫が生まれ出てきたのだからびっくりした。ちょうど何かの因縁かと感じ入ったことを覚えている。