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社会科学研究所 第30回シンポジウム「食料・農業のTPP戦略」を開催

TPPによる影響について熱い議論が展開された

社会科学研究所(所長=山田道郎法学部教授)は11月12日、駿河台キャンパス・リバティホールでシンポジウム「食料・農業のTPP戦略」を開催した。米大統領選挙の投開票直後とあって、学生や農業関係者らから高い関心が集まり、約200人が来場した。

第1部は、国際交渉官兼内閣官房企画官(TPP担当)の経歴をもつ作山巧農学部准教授が「食料・農業と日本のTPP戦略」をテーマに基調講演。これまで日本政府が進めてきたTPP交渉の経緯と批准後の国内農業への影響、先の米大統領選挙の結果を踏まえた今後の動向について話題を展開した。

続いて第2部では、TPPを取り巻く米国・韓国・日本の状況について、それぞれ個別報告が行われた。まず、山田優農学部兼任講師が、農業大国であり金融・産業分野でも世界を牽引する米国のTPP戦略を米国側から鋭く分析した。次に、国際日本学部の金ゼンマ専任講師が、政治経済学の視点から韓国のFTA(自由貿易協定)戦略について解説。さらに、北海道大学大学院農学研究院の東山寛准教授が、TPPの影響が最も大きいとされる北海道の農業の現状を紹介した。

休憩を挟んで行われた第3部は「日本における食と農の展望を考える」と題したパネルディスカッション。冒頭、榊田みどり農学部客員教授が、山形県置賜地域や飯豊町、長野県における地域自給の事例を紹介した後、小田切徳美農学部教授を進行役として、作山准教授、東山准教授、榊田客員教授が登壇し、白熱した議論が展開された。

最後に小田切教授は、「TPPは貿易交渉でありながら、安全保障など政治的な視点で大きな影響がある。これで終わりではなく新しい局面に進んでいく」とまとめ、閉会となった。