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「鳥取国際メタンハイドレートフォーラム」を開催

研究者が一堂に会し、次世代エネルギー資源について議論した 講演するロシア太平洋海洋研究所のアナトリ・オブジロフ氏

明治大学は3月15日、鳥取県、鳥取大学との三者共催による「鳥取国際メタンハイドレートフォーラム」を鳥取市・とりぎん文化会館で開催した。

ガスハイドレート研究クラスター(代表=松本良研究・知財戦略機構特任教授)はこれまで、国の探査プロジェクトの一環として日本海の表層型ハイドレートの調査を続けてきた。2015年9月には、学術調査研究拠点として「明治大学鳥取メタンハイドレートコアセンター」を鳥取港湾事務所に開設するなど、鳥取県、鳥取大学とも連携を推進している。

今回は、資源開発・回収の際に、環境インパクトや回収作業が引き起こす海底地盤の不安定化などの地質災害、とりわけ水産業の盛んな日本海のハイドレートやメタン湧出が海洋生物に及ぼす潜在的影響を科学的正確さで評価すること、そして、海底下の堆積物中でハイドレートが分解すると大量のメタンガスと水が発生して地層が不安定となり、斜面崩壊や地すべりが起こる可能性があることの2点が重要テーマとなった。

フォーラムは鳥取県の平井伸治知事、小川知之副学長(研究担当)によるあいさつで開始。続いて、松本特任教授が、表層型メタンハイドレート分布に基づいた、ハイドレート集積の地質的背景、可能な形成モデルについて基調講演を行った。

さらにロシア太平洋海洋研究所、フランス海洋開発研究所、国立台湾大学海洋研究所、イギリス・サウサンプトン大学および鳥取大学など、連携する大学・研究機関の研究者が登壇。世界の他の海域におけるハイドレートの形成プロセスや、ハイドレート分解による斜面の不安定化、メタン湧出海域の底生生物記録など、先端的研究成果の発表と議論がなされた。

フォーラムの翌日には、場所を鳥取大学に移してラウンドテーブル式のワークショップが開催された。先端的な研究成果に基づいた活発な議論が行われるなど、世界を目指す「共創的」研究の成果が三者連携協定の枠組みで発信された。

メタンハイドレート

天然ガスの主成分でもある深海堆積物中のメタンガスが、低温—高圧条件下で水と化合してできる氷状の個体物質。

次世代エネルギー資源として期待されている。