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本棚「企業のサステナビリティ戦略とビジネス・クォリティ」山下 洋史 諸上 茂登 編著(同文舘出版、4,300円+税)



本書は、明治大学社会科学研究所の2012年度~2014年度総合研究「企業のサステナビリティ戦略とビジネス・クォリティ」の研究成果を公表する目的で出版された「明治大学社会科学研究所双書」であり、商学・経営学と工学の両面から、企業活動のクォリティ(経営品質)とサステナビリティの問題にアプローチしている。これにより、従来は工学(特に、経営工学)の領域でモノのクォリティを論じてきた品質管理と、社会科学(特に、商学や経営学)の領域でモノに限定されない経営活動全般のクォリティやサステナビリティを論じてきた「経営品質」を有機的に結びつけ、文理融合型の新たな研究領域「経営品質科学」の開拓に挑戦している。企業経営はそもそも文理にまたがる基盤の上で実践され、実務においては、両者は境界すら意識させないことも多い。本書は、このような視点からもこれまでの枠組みを超えた本質的かつ実践的な経営理論を提供するもので、今まさに扉が開かれた経営品質科学の新たな息吹を感じさせる価値ある一冊である。

川中孝章・東京大学大学院工学系研究科講師
(編著者はともに商学部教授)