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論壇「『職員力』は『考え行動する力』」

総務担当常勤理事 大田原 健司

2031年、本学は創立150周年を迎える。今から、わずか14年後のことであるが、その時、本学を取り巻く環境も、本学自体も大きく変化していることであろう。少子化やグローバル化の進行等に伴い、大学が行う業務が複雑化・多様化する中で、大学運営の一層の改善に向けては、事務職員・事務組織等がこれまで以上に積極的な役割を担い、大学総体としての機能を強化し、総合力を発揮する必要がある。折しも本年4月1日からは、大学設置基準等の一部改正が施行され、大学の事務組織に係る規定の改正と教職協働に係る規定の新設等が行われた。教員と連携し大学の諸活動を支える「職員力」をより強靭なものに育てていく必要がある。

本学には、5月1日現在で専任職員562人、嘱託・派遣職員518人が在籍し、その他業務委託も含めて、教育・研究、学生生活、社会貢献事業等の諸活動を支え、かつ法人運営業務を担っている。専任職員一人当たりの学生数比(全学部生数/専任職員系列総数)でみると、本学が53.4人、慶應大43.8人、法政大80.1人、立教大65.5人、早稲田大61.0人、中央大59.5人である(いずれも2016年5月1日時点の人数で算出)。規模数では、そん色ないと言えよう。この数を力につなげて行く風土を築くことが重要である。

今日、我が国の大学、別けても私立大学にとって最大の課題は、少子化とグローバル化対策であろう。現在、約119万人の18歳人口は、明年頃からさらなる減少期に入り、14年後の2031年には100万人を割ると予測されている。優秀な学生を内外から安定的に確保するには、魅力ある教育・研究を展開し、豊かな学生生活を送る環境の提供が欠かせない。しかしながら、本学は現在、硬直化した財政という、大きな課題を抱えている。2016年度決算を見ても、収入構造、人件費依存率、教育研究費比率等において、さしたる変化(改善)は見られない。グローバル化推進、特色ある教育の推進、魅力溢れるキャンパスの整備等には、お金が掛かる。その財政的余力に乏しいのが現状である。

このような状況下にあって、職員に求められる能力とはなんであろうか。それは、「考え行動する力」ではないだろうか。組織の構成員が皆、普段の仕事を遂行する上で、大なり小なり考える習慣を身につけ、協働連携を旨としつつも主体的に行動し、手段構築力と目的達成力を強化する。考え行動する組織が出来上がれば明治はさらに強くなる。

「考え行動する力」を増すためには、普段の仕事の取り組みに「メリハリ」をつけることだ。力の加減、力の配分、費用対効果等を考えた身近な取り組みが求められる。また、幅広い教養や業務関連知識を自学や研修、人事異動、OJT等を通じて高めることも大切だ。これからの時代、変化に耐え自ら変化を創出できる人材が必要とされよう。

本年4月には、事務組織の改善が行われ、人事部と大学支援部が新たに発足している。両者とも人づくりや大学支援体制の強化を目的としたものである。大学の永続的な発展を支えるため、事務組織の見直しを継続するとともに、「考え行動する力」を蓄えた「職員力」の強化を図っていく責任を痛感する。