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ガバナンス研究科・シンポジウム「オリンピックと都市の課題」を開催

五輪の成果や課題について解説したジョン・ゴールド教授 第2部では2020年五輪以降の社会について討論した

公共政策大学院ガバナンス研究科は6月6日、空間計画・都市計画とまちづくりなどの授業の一貫として「オリンピックと都市の課題」をテーマとするシンポジウムを、駿河台キャンパス・アカデミーコモンで開催。一般の方や修了生らを含め約100人が来場し、熱心な討議が行われた。

第1部では、本学特別招聘教授でもあるオックスフォード・ブルックス大学のジョン・ゴールド教授が登壇。都市歴史地理学が専門で、五輪と都市との関係についての研究者という立場から、2012年ロンドン五輪をはじめ主なオリンピック大会の成果や課題について説明した。五輪後のロンドンでは、メインスタジアムをプロのサッカーチームに利用させる改修経費が公的に支出され、また五輪記念公園において期待されていた低所得者用の住宅があまりできないなどの問題点が挙げられた。

次に、読売新聞編集委員の河野博子氏が、持続可能性と大都市における自然の復権という視点から講演。新国立競技場の敷地内に暗渠(あんきょ)となって流れている渋谷川の復活、炎天下におけるスポーツ・イベント対策、非常用の自立分散型電源の利用、非常事態への対応策の確立など具体的な提案を行った。

続いて、本学客員教授の安井順一氏(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会参与・東京都住宅供給公社理事長)は、1964年東京五輪のインフラ整備の歴史を紹介。その上で、2020年東京五輪の選手・役員など関係者輸送にとって、築地市場用地を通る環状2号線道路の開通が不可欠であることを具体的に説明した。

最後に青山佾特任教授は、東京の都市構造が外延的拡大を続けてきた歴史の中で環状道路が果たしてきた役割と、都心から臨海副都心に至る新しい都市軸が形成されスポーツ、イベント、商業など成熟社会において必要な分野での重要な役割が期待されることを説明した。

第2部では、青山特任教授の進行でパネルディスカッションを開催。2020年五輪のレガシー(遺産)やスペクタクル(世界の人に日本を印象付ける光景)はどうあるべきか、五輪を契機に日本の社会がどう変化していくかなどについて場内からの発言を含め討論が行われた。

ガバナンス研究科では留学生を含めた学生に加え、修了生や一般の方にも開かれたシンポジウムを毎年開催し、公共政策の議論を重ね研さんを積んでいる。

青山 佾(ガバナンス研究科特任教授)