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明治大学研究フォーラムを初開催「メタンハイドレートの環境インパクトと先史人類社会」

環境変化に対する人類社会への影響に迫ったパネル討論 リバティタワー1階に設置されたポスター展示は多くの注目を集めた

研究・知財戦略機構は8月6日、本学の研究を社会に還元することを目的とした研究フォーラム「メタンハイドレートの環境インパクトと先史人類社会」を、駿河台キャンパス・リバティホールで開催した。

初めての試みとなった今回のフォーラムは、重点領域プロジェクトを推進するガスハイドレート研究クラスターと資源利用史研究クラスター、さらに黒耀石研究センターと農学部の研究者が、個別発表とパネル討論、ポスタープレゼンテーションを通して、明治大学における共創的研究の一端を発信。聴衆約200人が熱心に耳を傾けた。

小川知之副学長(研究担当)の開会あいさつに続いて行われた個別発表の前半では、まず、ガスハイドレート研究クラスター代表の松本良研究・知財戦略機構特任教授が「メタンハイドレートは地球環境の変動といかに関わってきたか?」と題して発表。これまでの研究成果はもちろん、燃料資源だけではなく文明の発展という視点で人類史に貢献している点について解説した。続いて、研究・知財戦略機構客員研究員で千葉大学大学院理学研究院の戸丸仁准教授が「日本海の海底から噴き出すメタンガスの行方」について、大学院農学研究科博士後期課程3年の青木伸輔さんが「海洋観測による海面からのメタン放出評価:ガスプルームによる大気への影響」について、メタンハイドレート研究の現状を海底・海上を切り口にそれぞれ報告した。

休憩を挟み後半では、農学部の登尾浩助教授が「陸域からのメタン放出」、黒耀石研究センター長で資源利用史研究クラスター代表の阿部芳郎文学部教授が「暖かな海と森の文化・縄文—ヒトは温暖化にどう適応したか—」、東京大学総合研究博物館の米田穣教授が「人類進化のなかの縄文人:人骨の化学成分でみる温暖化への適応」について、それぞれ異なった視点から研究内容を説明。環境変化が人類社会に与える影響など、地球化学、考古学、人類学が時間軸を越えて、複層的に絡み合う様子を明らかにした。

発表者6人が登壇したパネル討論では、会場から寄せられたさまざまな質問に答えながら活発な議論が行われるなど、明治大学における共創的研究の深化が図られた。