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農学部・村上周一郎准教授が産学連携で日本初発酵熟成肉製造技術「エイジングシート」を開発

エイジングシートを手に解説する村上准教授

農学部の村上周一郎准教授(微生物化学研究室)は、産学連携事業として(株)フードイズムと熟成肉の共同研究を開始し、このほど、安定した品質でかつ迅速に発酵熟成肉を製造することができる日本初の発酵熟成肉製造技術「エイジングシート」(特許出願中)を開発した。

村上准教授は(株)フードイズム代表の跡部美樹雄氏とともに、「エイジングシート」を安定的に製造し、販売・展開することを目的とした明治大学発となるベンチャー企業・(株)ミートエポック(本社:神奈川県川崎市、代表:跡部氏)を生田キャンパスにある地域産学連携研究センター内に設立した。

このエイジングシートは、肉の熟成に利用できる人体に無害な“カビ”を純粋に培養し、回収した胞子を減菌した布に付着させたもの。これまでの熟成肉の製造では、熟成肉を作る環境を整えた庫を作るのに約1年、その庫で熟成させるのに約100日間と長期間を要し、劣化・腐敗のリスクがあった。このシートに包んだ肉は、熟成に必要な“カビ”が短期間で増殖し、それにより腐敗の防止と肉の熟成が促進されることで、安定して短期間で発酵熟成肉を製造することが可能となる。今秋以降から食肉業界に対し本格的に展開を開始する。

9月21日、駿河台キャンパス・グローバルフロントで行われた発酵熟成肉製造技術「エイジングシート」に関する記者発表会では、村上准教授、跡部氏に加え、土屋恵一郎学長と、この産学連携に賛同し、シートで製造された発酵熟成肉を使用した新商品を展開するファーストキッチン(株)の紫関修代表取締役社長、中日本エクシス(株)の青山忠司代表取締役社長も登壇した。

シートについて説明した村上准教授は、「2016年に特許出願し、現在特許化を進めている。知的財産としてしっかり確保しながら、国内外の企業と連携し、『エイジングシート』を使用した新商品の販売を展開していきたい」と今後の展開に期待を示した。

発酵熟成肉の商品が続々登場

今秋以降から本格的に〝発酵熟成肉〟商品が展開される

ファーストキッチンは、10月26日から全国のファーストキッチンおよびファーストキッチン・ウェンディーズの計125店舗で3種類の「発酵熟成肉黒毛和牛バーガー」を販売。中日本エクシスは、10月6日から東名高速道路港北PA(下り)フードコートで「発酵熟成肉和牛ローストビーフ丼」を、11月1日から名神高速道路EXPASA多賀(下り)近江多賀亭で「発酵熟成肉和牛サイコロステーキ」など3種類の販売を開始する。

今後、他社の熟成肉との差別化を図るため、エイジングシートを使用して製造した発酵熟成肉を取り扱う店舗に「発酵熟成肉認定店」のステッカーを掲示、ブランドを周知する。