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リバティアカデミー 小学館連携講座 「国宝の魅力について語る」を開催

オープン講座の冒頭、竹本田持副学長(社会連携担当)があいさつ オープン講座の冒頭、竹本田持副学長(社会連携担当)があいさつ異なる視点から「国宝」の魅力に迫った吉村名誉教授と山下教授(右) 異なる視点から「国宝」の魅力に迫った吉村名誉教授と山下教授(右)

明治大学の生涯学習機関・リバティアカデミーは9月23日、秋期開講オープン講座「国宝の魅力について語る『カワイイ国宝、驚く国宝。勝手に楽しむ国宝のススメ』」を駿河台キャンパス・アカデミーホールで開催した。

本講座は、「国宝」という言葉が誕生してから今年で120年の節目にあたることから近隣企業である小学館と連携して企画され、日本人の精神や文化を形作る源泉としての「国宝」について、日本古代史が専門の吉村武彦明治大学名誉教授と、週刊『ニッポンの国宝100』(小学館刊)の監修者である明治学院大学の山下裕二教授がその魅力についてそれぞれ語った。

第1部では「飛鳥・奈良時代の国宝について」をテーマに吉村名誉教授が登壇した。古代史研究者として「国宝」の定義と意義、飛鳥・奈良時代の思想や文化などを説明しながら、現存する資料や建造物が当時のままではなく経年変化によって現在の様相になっている点、今もなお異なる解釈によってさまざまな歴史研究が行われている点などについて解説した。さらに、興福寺阿修羅像や高松塚古墳壁画などの修復作業を例に挙げながら「国宝や美術品については、万全の態勢で保存措置をとる必要がある」と歴史学的な視点で訴えかけた。

続く第2部では、山下教授が「国宝の魅力と、私の見方」と題して講演。先日、水墨画家・雪舟の幻の作品「倣夏珪山水図」が84年ぶりに発見された際に、監修を務めるなど室町時代の水墨画研究の第一人者としての見地から、雪舟の国宝6点をはじめ数々の作家の国宝作品について軽妙な語り口で解説した。ほかにも自らが未来の国宝候補と評する作品について多数披露し、「国宝かどうかも大事だが、自分の実感と照らし合わせて作品を見ることでより日本美術を楽しむことができる」と国宝のススメを伝授した。

会場を埋め尽くした約900人の来場者は、国宝の魅力を存分に味わったようだった。