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論壇「トップスクールを目指して」

理事 林 義勝

柳谷孝理事長と土屋恵一郎学長を中心とした新しい理事会体制がスタートして1年半以上が経過した。その理事会の最初の仕事は、創立150周年に向けて、本学の教育・研究体制をさらに飛躍的に発展させるため、財政状況の安定化を図ることであった。授業料値上げを提案するのは理事会であり、決定するのは本学の最高決定機関である評議員会である。しかし、実際、日々学部生・院生の教育に従事し指導をしているのは教員であり、その意味で各学部教授会など、教学サイドから授業料値上げを容認していただくことは重要なプロセスであった。双方で丁寧な議論を交換し、おかげさまで教学サイドの理解と協力をいただき、財政基盤の安定への見通しが立ったことは大変喜ばしい。授業料値上げとともに、入学定員を1030人増員することを文部科学省から認可を得たことも、財政基盤の安定化に大きく寄与することは言うまでもない。

こうした財政基盤のうえに、本学が目指すことは、土屋学長が9月の学長スタッフ研修会で打ち出された、「Meijiを圧倒的存在に」押し上げることである。そのために、現在進行中のSGUプログラムを推進して本学のグローバル化を実現し、総合的教育改革を実質化し、研究活動を国際的水準に引き上げることなどである。さらに、法人側としては、給付型奨学金を一層充実させ、各キャンパスの老朽化した施設の建て替えや、学長方針に沿った新しい施策や教育・研究施設の整備・建設などを推進し、教学サイドの動きに積極的に対応する必要がある。このように、本学がトップスクールとして君臨するためには、今まで以上に、教学と法人が相互にコミュニケーションを密にし、一致団結して取り組んでいかなければならない。特に、全学部・研究科の先生方のご理解とご協力が欠かせない。

その際、直ちに解決すべき課題がいくつもある。例えば、先生方の研究時間の確保である。改善策として専任教員の責任持ちコマ数を減らすことが考えられる。さらに、民主的な大学運営のためには参加型が必須であるが、会議の数を減らして教員の研究時間を確保する方策を実現することも大きな課題だ。さらに、本学出身の教員を一定程度確保する方策、女性研究者の採用促進、国際学会で通用する若手教員の育成や一定期間研究活動に専念できる教員制度などの導入も検討課題になろう。さらに、文科省主導で受験制度が改変される中、教職員が多大なエネルギーを使う入学試験制度の在り方の見直しも求められよう。こうした課題は教学だけで解決できるものではなく、時間も要しようが、教学と法人がこれまで以上に知恵を出し合って、大胆な方策を模索することが必要だ。

このように若干の課題を取り上げただけでも、本学がトップスクールを目指して進む道は厳しいことは容易に理解できよう。今こそ、教職員が一体となって足元を固める努力を惜しまないことが求められている。 
(文学部教授)