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国際武器移転史研究所・第6回シンポジウム 「ブリティッシュ・ワールド研究の新視点」

会場からの質問に答える竹内氏と福士氏(左)

明治大学国際武器移転史研究所(所長=横井勝彦商学部教授)は11月21日、第6回シンポジウム「ブリティッシュ・ワールド研究の新視点—帝国紐帯の政治経済史—」を駿河台キャンパス・リバティタワーで開催した。

総合的な歴史研究を通じて、軍縮と軍備管理を阻む近現代世界の構造を明らかにすることを目指す国際武器移転史研究所。今回のシンポジウムでは、列強諸国の軍事的紐帯、経済的紐帯、感情的紐帯の3つの帝国紐帯の動態的関係に注目しながら、「ブリティッシュ・ワールド」の境界とイギリスの帝国防衛をいかに捉えるべきかについて考察した。

第1報告では、竹内真人日本大学商学部准教授が「ブリティッシュ・ワールド論とインド」をテーマに講演。現代に広がりつつある「グローバリゼーション」から「ネオ・ナショナリズム」への大きな変化を念頭に、イギリス帝国史研究において活発に議論される“ブリティッシュ・ワールド論”の先行研究と属領インドとの関係性について解説した。

続く第2報告では、福士純岡山大学大学院社会文化科学研究科准教授が登壇。「カナダにおける帝国特恵関税論争の再検討」と題して、カナダ人の多層的アイデンティティを踏まえながら、1897年にカナダ自由党政府によって導入された「帝国特恵関税」をめぐる議論について、イギリス帝国経済構造に占めるカナダの経済発展の方向性などを中心に紹介した。

その後、横井所長の進行で行われた質疑応答では、ブリティッシュ・ワールドの定義やイギリス帝国史の変遷に関する鋭い質問が多数寄せられるなど、さまざまな視点から活発な議論が行われた。