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シリア人難民家族の5年間に密着 難民ドキュメンタリー上映会

「ドキュメンタリーは悲惨な現状を伝えると同時に、“家族”のような普遍的な側面も伝える」と金本氏(右)

明治大学は11月17日、シリア内戦による難民家族の5年間に密着したドキュメンタリー『シリアを遠く離れて~アンマール少年と家族の5年~』の上映会を、駿河台キャンパス・グローバルホールで開催した。

ドキュメンタリーは、世界で難民が最も発生することになった国シリアの12歳のアンマール少年とその家族が、2012年にヨルダンに逃れてから2016年にUNHCRヨルダン事務所の援助のもとオーストリアに第三国定住するまでを追ったもの。その間、アンマールはトルコへの脱出で足を負傷、姉はヨルダン人と結婚・離婚を経験、シリア自由軍に加わり負傷した父、ようやく定住したオーストリア現地校で言葉の壁に苦悩する妹など、一家を次々に襲う現実が映像に収められている。2016年12月にNHK「BS1スペシャル」で放送され、第54回ギャラクシー賞奨励賞を受賞した作品で、参加者は息をのんで見守った。

上映後、鳥居高商学部教授による司会のもと、番組制作を担当した金本麻理子ディレクター(椿プロ代表取締役)による解説、および参加者との質疑応答の機会が設けられた。ドキュメンタリー制作に興味をもつ国際日本学部の学生からの「撮影中、一番大切にしていることは」との問いに対しては、「絶対に彼らの状況を変えないこと。家族の将来を変えてしまう可能性があるから、よほどのことでない限り助言はしない」と、家族に寄り添いながら取材を行う心構えを伝えた。

上映会の最後に、鳥居教授は「“UNHCR”、“第三国定住”という日常の中では素通りしそうな単語や情報が、映像を通すことで記憶に残ったのではないか。今日の映像をきっかけにして、自らの関心を広げてほしい」と投げかけた。