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明治大学人権委員会 多様な「性」をテーマに人権講演会を開催

国際基督教大でさまざまな取り組みを推進した田中氏 講演会には学生、教職員が参加し理解を深めた

明治大学人権委員会は12月12日、2017年度の第2回目となる人権講演会「人権としての『性』—多様な性を認める自由なキャンパスをめざして—」を駿河台キャンパス・リバティタワーで開催した。

この講演会は、12月10日の「世界人権デー」に合わせて、明治大学における人権教育・啓発活動を目的に開催するもの。今回は、元国際基督教大学教授で同ジェンダー研究センター顧問の田中かず子氏を講師に招いて行われた。

田中氏はまず、強い社会規範により男女の性別なしでは生きられない現状と、生物学的な男女の区別だけではない多様な性が存在することを紹介し、「性別二元論が揺らぎ、多様な性を表現する人が増えている。社会がこれを個性として捉えるようになってきた」と最近の風潮を解説した。

また、人権としての「性」に関わる国際的な解釈や変遷を紹介しながら、近年の日本国内における動向についても言及。「日本では性的マイノリティへの眼差しは厳しい」としながらも、2017年9月に日本学術会議が発表した性的マイノリティの権利保障の提言を例に、「学ぶ権利の保障と差別を禁止する責任が大学にはある」と訴えた。

性の多様性が認められる自由なキャンパスの実現に向けては、無自覚の差別、理解と共生、支援の限界などの課題を列挙。「これは性的マイノリティの問題ではない。多数者たちが違いを理解し、対等に認め偏見をなくすことが第一歩」とした上で、「大学を構成する教職員が、覚悟をもって性的マイノリティが声を上げることのできる環境づくりに取り組まなければならない」と力強く呼びかけた。